(2023年12月追加)

●地球のクレーターの多くは階層球列の球体によって作られた

月のクレーターは本当は隕石の衝突孔ではなく、階層球列モデルの球体によって作られたと以前私は書いたことがある。

月のクレーターの不思議

地球のクレーター(隕石衝突跡と言われるもの)も、その多くは階層球列モデルの球体が作ったと私は推測している。有名なところでは、メキシコのチクシュルーブ・クレーターがそうだ。現代科学では、小惑星の衝突がこの巨大クレーターを作り、衝撃やその後の気候変動などで恐竜を絶滅させた可能性が高いと考えられている。しかし、本当に小惑星の衝突があったのか私は疑問に思っている。

クレーターとは、質量衝突によって作られる円形に窪んだ地形だ。しかし、天体の衝突によって作られたと現在考えられているクレーターも、以前は火山活動によって作られたとされていた。岩石が熱で溶けて変成するのは同じだから、天体衝突によるクレーターと火山活動によるクレーターは地質学的に似た性質を持つ。ちなみに、英語の crater は衝突・火山活動・爆発・陥没など成因を問わず『円形に窪んだ地形』すべてを指す。小惑星や隕石などの質量衝突によるものは衝突クレーターと呼ばれる。

ウイキペディアによると、天体衝突によるクレーターは円形の盆地とそれを取り囲む円環状の山脈から成る。しかし実際にはさまざまな形があり、小型で断面が単純なお碗形の単純クレーターと、大型で埋め立てられた平らな底部を持つ複雑クレーターとに分類される。複雑クレーターは中心に中央丘を持つことが多い。クレーターの規模が大きくなると中央丘はより顕著になり、次第にリング状の構造を示しはじめる。このようなクレーターは中央リングクレーターと呼ばれる。さらに、最大規模の衝突では同心円状の複数のリング構造を持った多重リングクレーターが形成される。

ウイキペディア:クレーター

私が思うに、複雑クレーターは本当は階層球列モデルの球体によって作られるのではなかろうか。天体の衝突によって「同心円状の複数のリング構造」ができる物理的な理由が私には考えつかない。また、同心円と言うが、多重リングクレーターのリングは真円には見えない。月のオリエンタル盆地にある代表的な多重リングクレーターは、なめらかな弧ではなくやや角張った曲線でできている。親と子の2階層を用いて階層球列モデルで描くと、こんな感じになる。実2次元虚1次元球体(すなわち平面図形)と仮定している。


オリエンタル盆地クレーター   オリエンタル盆地クレーターシミュレーション
Credit: NASA / GSFC / Arizona State Univ. / Lunar Reconnaissance Orbiter                                     

球体の表面軌道を対称的な2軌道として描いてみるとさらに似た形になる。

オリエンタル盆地クレーター   オリエンタル盆地クレーターシミュレーション

そもそも大型のクレーターの形は真円でなく五角形や六角形に似ていることが多い。これは月のクレーターだけではなく、太陽系のほかの惑星でも、地球でもそうだ。階層球列モデルの球体の表面軌道だからではあるまいか。また、クレーターの内部や外部に、多角形地形が存在することがある。

ウイキペディア:太陽系の天体の最も大きなクレーターの一覧 水星のレンブラント・クレーター
レンブラント(水星)


ウイキペディア:チェサピーク湾クレーター
チェサピーク湾クレーター


ウイキペディア:アクラマン・クレーター
アクラマン・クレーター


ウイキペディア:ゴッシズ・ブラフ
ゴッシズ・ブラフ



チクシュルーブ・クレーターはメキシコのユカタン半島北部にある。規模が大きく、中心地が海洋にあるために目視では視認が困難であり、衛星画像、地磁気異常、重力異常、およびセノーテの分布によって確認される。より最近の研究は、クレーターの径が約300kmであり、180kmのリングがその内壁であることを示唆している。

ウイキペディア:チクシュルーブ・クレーター

つまり二重のリングクレーターということになるが、重力分布図を見るともっと多くの同心円がある。本当は何重にも重なった多重リング構造なのだろう。階層球列モデルで描くと、こんな感じだろうか。階層球列モデルの「公転軌道」らしき弧が重力分布図に一緒に写っている。

チクシュルーブ・クレーター   チクシュルーブ・クレーターシミュレーション
Wikimapia:Chicxulub Impact Crater

チクシュルーブ・クレーターの外縁には、セノーテという陥没穴が円弧状に分布している。それらは地下水が溜まって天然の井戸や泉になっている。

セノーテの環

泉の下層には大規模な鍾乳洞が水没している。鍾乳洞は石灰岩でできており、石灰岩とは炭酸カルシウムの割合が高い岩石だ。以前私は球状コンクリーションについて、炭酸カルシウムの石化に磁気リコネクションが関係していると書いた。石灰岩の陥没穴であるセノーテの形成にも磁気リコネクションが関係している可能性が高い。階層球列モデルの球体の円弧状の表面軌道に球列が存在し、それらが磁気リコネクションを起こすことによって円弧状のセノーテ群を作ったのではなかろうか。なお、この「子階層」の球体の存在は、重力分布図でも確認できる。チクシュルーブ・クレーター内部の左下寄りに、小さく青い円形の重力異常領域がふたつある。



サドベリー隕石孔は、カナダにある地球上で2番目に大きな「隕石衝突に起因する地質構造」である。クレーター跡は現在は深く浸食され強く変形しているが、生成時には直径200〜250 kmあったと推定される。
この隕石孔は同心円構造を持っているが、形は真円でなく楕円である。形成時には巨大な円形クレーターだったが、深い浸食と造山運動による変形が楕円形の盆地を作ったと考えられている。

ウイキペディア:サドベリー隕石孔

しかし、階層球列モデルで考えると、この形は球体の頭頂部に必ず現れるおなじみのアルファベット筆記体l字型だ。

サドベリー隕石孔   サドベリー隕石孔シミュレーション

サドベリー盆地の東端に隣接するワナピティ湖も衝突クレーターとわかっている。ちょうどアルファベット筆記体l字型の頂点あたりに位置する。けれども、サドベリー盆地との関連はないと考えられている。生成年代がまったく違うと推定されているが、不思議な話だ。これほど近接した場所にある二つの隕石衝突孔に関連がないというのだから。階層球列モデルで考えれば、ワナピティ湖は球体の表面軌道に存在する「子階層」の球体が単独で磁気リコネクションを起こした跡だ。円弧と星形を組み合わせたような湖の形は、「子階層」の球体が頭頂部を中心として放射状に磁気リコネクションを起こしたことを示すのだろう。

ワナピティ湖

ちなみに、ロシアのポピガイ・クレーターもこの型のクレーターと思われる。この画像では左下が頭頂部になっている。。

ウイキペディア:ポピガイ・クレーター
ポピガイ・クレーター   ポピガイ・クレーター

サドベリー盆地には、火成岩類・角礫岩類・堆積岩類がつぶれた楕円形に同心円状に並ぶ、特異な地質構造が発達している。しかもそれだけではない。盆地の北側にも部分的にヒューロニアン累層群が同心円構造と平行するように分布し、盆地の北西縁に沿って強変成片麻岩があり、南東縁に沿って原生累代の深成岩の貫入がある。球体の表面軌道という階層球列の概念がなければ、どれほど地質学者を悩ませるか想像がつく。階層球列モデルにとっても、貴重な情報を与えてくれる。同じ球体の表面軌道でも、場所によって発生する化学反応が異なることがわかる。「子階層」の球列のポテンシャル分布のせいか、原因不明だが少しずつ化学反応が異なるのだ。サドベリー盆地はニッケル・銅その他の鉱山として知られるから、この反応は原子レベルで生じている可能性がある。世界最大の衝突クレーターである南アフリカ共和国のフレデフォート・ドームに金鉱床が存在するのも同様の理由かもしれない。

また、サドベリー隕石孔ではシャッターコーンという奇妙な構造の岩石が見つかる。シャッターコーンは数mmから数mに及ぶ岩石の内部に生じた円錐状の割れ目だ。これまで衝突隕石孔か大規模な地下核実験場でしか見つかっていない。サドベリー貫入岩体の周囲全域に渡って、さらに周囲にのみシャッターコーンの存在が確認される。おそらく、階層球列モデルの球体の表面軌道に存在する球列が、磁気リコネクションを起こした痕跡だろう。

シャッターコーン   シャッターコーンシミュレーション
ウイキペディア:シャッターコーン

サドベリー隕石孔は、地質学的に他にも謎が多い。厚さ約2.5 kmの成層したマグマ様の火成岩類(サドベリー火成複合岩体)の上に3層の別々の堆積岩層(ホワイトウォーター層群)がある。この4層は地質図上で盆地の楕円形に沿って「同心円」状に配置されている。これらの構造は、地下においてタマネギのように立体的な層状を成し、それぞれ地下でつながっている。この構造も階層球列モデルの球体の表面軌道ゆえの特徴だろう。


シルバーピット・クレーターはイギリス東海岸沖、北海の海底下にある。すり鉢型をしており、地震学的データでは中心から半径約10 kmまで、複数の同心円状のリングが取り囲んでいる。このリングのおかげで、木星の衛星カリストにあるヴァルハラ・クレーターや、エウロパにある他のクレーターにいくぶん似た外見になっている。地球の小規模クレーターで、このような同心円状になっているものはほかに見つかってないようだ。解釈には論争があり衝突以外の起源も提唱されている。

ウイキペディア:シルバーピット・クレーター
シルバーピット・クレーター   シルバーピット・クレーター
Image credit:Phil Allen (PGL) and Simon Stewart (BP)                                                

このクレーターを階層球列モデルで描いてみた。全部で3階層の球体の表面軌道を用いた。最下位階層の球体は内管がすり鉢型の「4次元超球の3次元断面」と仮定した。最上位の階層は球体に表面2軌道が存在すると仮定した。@全体の形が円形よりも七角形に似ていることA中心部の形も七角形に似ていることB同心円とは言うものの、中心部の左は目が詰んでおり線が細く、中心部の右は目が粗く線が太いことC時計盤でいえば10時の方向あたりで同心円の線が一本から二本に分岐することなどが似ていると思う。


英語版のウイキペディアは、日本語版よりも衝突クレーターについて詳細な記述をしている。衝突クレーターは「広く平らで浅いクレーターの床」と「段々になった壁」を持つと述べている。「段々になった壁」が生成する理由は、階層球列モデルでは明らかだ。また、英語版は衝突クレーターを非爆発性の火山クレーターと区別するための地質学的な衝撃変成作用についても述べている。天体が地球に衝突すると、衝突点近傍の岩石は衝撃波の通過の際に圧縮され、一時的に高温・高圧状態になる。岩石や鉱物はそれにより激しく変形したり溶融したりする。これが衝撃変成作用だが、同様の作用は磁気リコネクションによっても起こると私は考える。昔地質学には暗号火山構造(Cryptoexplosion)という用語があったそうだ。通常円形の、地殻内に原因不明の大規模な爆発の地質学的証拠がある領域を指すらしい。これは階層球列モデルの球体の磁気リコネクションの痕跡であることが多いのではなかろうか。


ここまでクレーターについて書いてきたが、階層球列モデルの球体が原因と思われる円形地形は陥没孔だけではない。陥没とは逆に、地面を隆起させることもある。たとえばロシア極東にはコンジョル山脈という環状山脈がある。直径8kmの輪の中には、世界最大の白金(プラチナ)鉱床がある。白金の他、ここでは黒い柘榴石(ガーネット)や青い方解石、コンデライトというコンジョル特有の金属(銅、真鍮、ロジウム、白金、イリジウムの合金)が採れる。

ロシア・ビヨンド:ロシアの白金はどこで採れているか(写真特集)
コンジョル山脈

コンジョル山脈は地質学的にはマグマが地表に噴出しないで地下で固結した貫入岩体と考えられている。イリジウムが採れることに注目したい。衝突クレーターが火山由来ではなく小惑星や隕石の衝突跡と判定される根拠のひとつは、イリジウムが見つかることだ。イリジウムは地球の地表には少なく、隕石に高濃度で存在しているからだ。チクシュルーブ・クレーターが衝突クレーターと考えられたのもイリジウム濃集層が存在したからだ。しかし、このイリジウム濃集層も磁気リコネクションによる原子レベルの反応が関係しているのではあるまいか。核融合が起きている可能性もある。


以前も書いたことがあるが、最後にリシャット構造に触れておきたい。原因不明の円形地形、あるいは同心円状地形と言えばリシャット構造は外せない。アフリカ北西部、モーリタニアの中央部に位置する巨大な円形の地質学的特徴である。直径は約50kmに及び、宇宙空間からでないと、その全容は掴めない。発見当初は、隕石の衝突によるクレーターと思われていたが、調査の結果、特有の鉱物が存在しないこと、直径に比べて深さが浅いことなどから、これは否定されている。

ウイキペディア:リシャット構造

以前私はリシャット構造を階層球列モデルでこのように描いた。しかしこの描画はあまりに単純過ぎ、間違っていたようだ。

リシャット構造   リシャット構造シミュレーション

改めてリシャット構造を観察してみよう。暗緑色の部分はおおまかには同心円構造ではあるが、弧がところどころで分岐している。また、それよりもずっと細い弧が何十本も同心円状に集まってこの構造はできている。これらの細い弧は暗緑色の部分だけでなく黄土色の部分にも存在する。ということは、本当は暗緑色の部分から判断するよりも巻き数の多い複雑クレーター構造と思われる。階層球列モデルで実2次元虚1次元球体(つまり平面図形)として描くとこんな感じだろうか。

リシャット構造   リシャット構造シミュレーション

今まで描いた複雑クレーターの例にならって、親階層の球体に表面2軌道が存在すると仮定するとこんな感じになる。2軌道の作用は似ており、いずれの軌道も条件により暗緑色にも黄土色にもなると想定している。リシャット構造の中心付近の形と比較すると、1軌道よりも2軌道の方が正しそうだ。

リシャット構造   リシャット構造シミュレーション

リシャット構造の画像の上縁近くに、弧が白く波打ったような地形がある。これも階層球列の球体の作用でできたようだ。親と子の2階層を用いて赤の軌道の一部を描き直すとこのようになる。

リシャット構造   リシャット構造シミュレーション

そもそもリシャット構造は細い弧が何十本も同心円状に集まってできているが、子階層の球体の軌跡が多数存在するからだろう。


GoogleMapで見ると、リシャット構造の左側にも小さなクレーターらしき円形地形が見つかる。親階層の球体の表面軌道に存在する子階層の球体が、磁気リコネクションを起こした痕跡かもしれない。だとすると、サドベリー隕石孔のワナピティ湖と似た状況だ。

リシャット構造

これらの小クレーターは球列になっている可能性もある。世界を見渡してみると、ロシアのマチャクレーターなども球列になっているようだ。このクレーターも隕石の落下によってできたと考えられている。

wikipedia:Macha crater
マチャクレーター
Gatis P?vils, basing on Google Earth (2012), GIS Innovatsia 2013 and Gurov E.P., Gurova E.P.

複合クレーターは概して巨大だが、惑星の直径に比べてクレーターがあまりに大きい場合、そのクレーターは惑星の表面軌道そのものという場合もあるようだ。月探査機かぐやによって観測されたデータに基づく南極エイトケン盆地(赤い部分は高所、紫の部分は低所を表す)を月の表面2軌道として描いてみた。

ウイキペディア:南極エイトケン盆地
南極エイトケン盆地   南極エイトケン盆地シミュレーション

念のため述べておくが、地球の全ての隕石衝突孔の原因が階層球列モデルの球体であると私は主張しているのではない。大型の複雑クレーターは階層球列モデルで説明されるべきだが、小型のお碗形クレーターは実際に隕石が衝突してできたものだろう。また、チクシュルーブ・クレーターが小惑星の衝突跡でないとしたら、恐竜が絶滅した理由がわからなくなると心配する方がおられるかもしれない。だが、チクシュルーブ・クレーターが恐竜絶滅の原因であるという説を信じない学者は現在でもいる。チクシュルーブ・クレーターが小惑星の衝突跡であると認める科学者でも、その衝突が恐竜を滅ぼしたという具体的な過程については説明できない。たとえ恐竜絶滅の理由が小惑星衝突から他の原因に書き換わったとしても、だれも特別に困らないのではなかろうか。



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