(2022年12月追加)
前回までに西太平洋とアフリカのプレート境界をシミュレーションしてきた。今回はアジアのプレート境界をシミュレーションしてみたい。
地球の全方向を同時に正確に表示するのは難易度が高いので、今回も疑似的なシミュレーションである。地球表面軌道をアジアを含む平面に投影したと考えてほしい。地球表面軌道の中心軸と祖球や親球の中心軸は向きが等しいと仮定して描いている。仮に祖球の中心軸が地球表面軌道に沿うとすると、地球表面の球面らせん軌道を横から見たシミュレーションをこの方法で描くと原理的に誤差が出てしまう。そのせいか、西太平洋やアフリカのシミュレーションに比べて特に図の周辺部で実際のプレート境界とのずれが大きい。
このシミュレーションでは基底軌道2本と励起軌道2本を描いた。赤と桃が基底軌道、肌色と水色が励起軌道である。ヒマラヤ山脈からマレー半島、インドネシアへと続くプレート境界を基準に軌道を位置決めした。
中国の地震帯とこのシミュレーションとを比較してみた。特に中国西部では、ローマ数字で示された地震帯とシミュレーション軌道とがほぼぴったり一致している。プレートテクトニクスによる地殻のひずみが蓄積しにくい大陸中央部で地震が起きる理由をこのシミュレーションは説明している。
SciencePortal China:中国大陸における主な活構造帯の定量的研究、及び強震予知についての検討上図でローマ数字Vに当たる「甘孜−玉樹-鮮水河-安寧河−則木河-小江活断層帯」南部の拡大図を転載する。私の中国のシミュレーションには、図の中央左に縦に2本桃線が並んでいる。右側の桃線、それも「N30°」の文字よりも南のごく限られた部分にこの断層帯は該当する。ところが、視野を広げてアジア全体のシミュレーションと比較してみると、この断層帯の形はもっと広域の「ゴビ砂漠から南へ延び、チベット高原の東を通ってマレー半島へ至る桃線」に似ている。また、「ミャンマー西部を南へ延びる赤線」にも非常に似ている。至る所で似た形が出現するという、階層球列モデルの階層性(フラクタル性)が如実に表れた例と思う。この拡大図を見ると、断層帯は緩やかにうねり、しかも腸詰めのような形の小さなセグメントが連鎖していることがわかる。この性質は階層が上であっても下であっても共通と思われる。
遅ればせながらシミュレーション式を簡単に説明しておくと、以前描いた西太平洋やアフリカのシミュレーションと地球・祖球・親球の半径や回転数は同じである。しかし祖球や親球の位相は変えた。疑似シミュレーションの原理から言って、縦から見るか横から見るかによって位相は当然90度ないし270度変える必要がある。また、基底軌道と励起軌道との間に10度程度の同軸回転角を設けている。実際のプレート境界と似せるためだ。シュレディンガー方程式の解の性質から考えてこの同軸回転は認められると思うのだが、数学の専門家に聞いてみたいところだ。
次はアメリカのプレート境界だ。このシミュレーションも基底軌道2本と励起軌道2本を描いた。赤と桃が基底軌道、肌色と水色が励起軌道である。カリフォルニアから南の海へ出て南半球に至るプレート境界を主眼に軌道を位置決めした。地球全体で見ると、地球の裏側に当たるアジアと同一の軌道を描いている。
しかし、軌道の位置は大まかには合っているが、細かい部分が合っていない。そこで、親球の4次元の位相を変えて励起軌道を描き直してみた。中米のプレート境界はこっちのほうが似ている。4次元の位相とは、「親球半径の周期的な伸縮の位相」を意味する。親球の3次元の位相や、地球や祖球の位相は変えていない。
同様に、親球の4次元の位相を変えて基底軌道を描き直してみた。このシミュレーションを見ると、チリで大地震が起きやすい理由がわかる気がする。
カリフォルニアのサンアンドレアス断層あたりも描き直した基底軌道のほうが似ているだろう。だが、単純にこの軌道だけが正しいと考えると、今度は南米大陸北のベネズエラ沖のプレート境界(赤の軌道)の形が合わなくなる。実際には地球表面軌道は単独ではなく、親球の位相を180度ずらした軌道が並んで存在すると考えるべきなのかもしれない。
サンアンドレアス断層には基底軌道だけでなく励起軌道も通っており、カリフォルニアの地震の一因となっていると思われる。カリフォルニア地震は「境界がずれる」トランスフォーム断層の地震である。基底軌道2本(赤桃)と、励起軌道1本(水色)と、親球位相をずらした基底軌道1本(黄)をサンアンドレアス断層が存在する地域に描き入れてみた。互いにわずかに離れて存在する「親球位相が180度ずれた基底軌道2本(赤と黄)」でトランスフォーム断層の地震が起きていることがわかる。
サンアンドレアス断層は遠目で見るとゆったりと蛇行している。単純な直線状の断層ではない。この写真でも奥の方で断層が交差しているが、交差の仕方は緩やかに弧を描いている。地球表面軌道はこのように緩やかにくねりながらどこまでも続く。
ところで、カリフォルニアは山火事が非常に多く発生することで知られている。その数は年間8000件にも達する。これほど山火事が多いのにはいくつか原因があるが、この地域を地球表面軌道が通っていることも原因の一つではないだろうか。
南カリフォルニアには強く乾いた季節風のサンタアナ風(とディアブロ風)が吹き、高温乾燥の気象条件をもたらして山火事の原因となることが知られている。サンタアナ風に吹かれた山火事の煙はこの衛星画像ではらせん形になっている。何か特別な理由がなければ風がらせん形に吹いたりはしないだろう。
地球表面軌道とは別に、空中には気象変化の原因となる球列を従えた軌道があると私は考えている。空中の球列は季節風の原因となりうるが、空中の球列と地球表面軌道の球列の役割分担を完全に切り分けるのは難しい。
カリフォルニアの山火事の原因の一つは異常に落雷が多いことだ。このWIREDの記事では「カリフォルニアの巨大な森林火災は火災積乱雲を生み出しており、その雲が雨を伴わない雷を起こしている」と述べている。球列の磁気リコネクションで発生する電荷がこの雷の原因となっている可能性は高いと思う。
また、カリフォルニアの山火事では竜巻のように巨大な火災旋風が発生することがある。しかし、旋風の発生条件や発生メカニズムは未解明である。火災旋風は、竜巻に似た外観になることもあるものの、竜巻は上空の大気状態により発生する全く別のものである。
ウイキペディア:火災旋風竜巻の発生原理も階層球列モデルで説明できると私は以前述べた。カリフォルニアの山火事の現場には、階層球列モデルの気象に関わる球体が存在するのではなかろうか。WIREDの記事によると、「消防隊員たちの周りで、炎は風向の変化に応じてめちゃくちゃな方向に動きまわる」そうだ。非常に急速かつ不規則に周辺の風向きが変化するらしい。この風の変化は階層球列モデルの気象に関わる球体が存在するときの特徴だ。また、この記事には「この地域の上方で起きている下層ジェット気流」が関係しているとも書かれている。ジェット気流が階層球列モデルで重要な役割を果たしていることもすでに述べた。これらの球体が地球表面軌道の球体と相互作用を起こし、磁気リコネクションを頻発させることによって落雷が増えている可能性がある。