日本を例にとってプレート間地震の仕組みについて考えたい。まず日本周辺のプレート配置を再確認しておこう。
地質関連情報WEB:◆プレートテクトニクスからみた日本列島海溝型のプレート間地震はわかりやすい断層地震だ。大陸プレートの下に海洋プレートが沈み込むとき摩擦によるひずみが岩盤に蓄積する。最終的には岩盤が一気にずれ、蓄積されていたエネルギーが解放されるとき巨大地震になる。この機構は誰でも聞いたことがあるだろう。だが、その地震が起きたすべり域のすぐ近くで進行するゆっくり地震については地震学者もいまだに原因をつかみかねている。
高感度地震観測網の整備に伴い、近年ゆっくり地震(スロースリップ)という新しい型の地震が発見された。普通の地震によるプレートのすべり(スリップ)よりもはるかに遅い速度で発生する滑り現象だ。地震動の継続時間が非常に長く、その周期が比較的長め(約0.5秒 - 数十秒、低周波領域)であるという特徴を持つ。 ゆっくり地震は、プレート同士の境界面の一部が強い圧力によって密着した固着域(アスペリティ)のすぐ近くでも起きる。海溝などの沈み込み帯でよく見られる。
ウィキペディア:スロースリップ1946年の南海地震の震源域を精密に観測した結果、周辺でゆっくり地震が発生していることが判明した。また、ゆっくり地震と低周波地震と超低周波地震は、同じ時期同じ場所で発生した同じ方向のすべり運動であることがわかった。異なるのはその規模だけだ。これらの地震の発生地点を図示するとこのようになっている。
東京大学 大学院 理学系研究科・理学部:ゆっくり地震のスケール法則東京大学の研究により、ゆっくり地震は通常の地震と性質が異なることが明らかにされた。ゆっくり地震の場合「空間的な規模を表す量として地震モーメント(断層の面積とすべり量の積に定数をかけたもの)、時間的な規模として継続時間を比較してみると、両者はほぼ比例する」。しかし通常の地震では1乗(比例)ではなく3乗の関係がある。
私のモデルでは、祖球表面軌道には親球列が存在する。親球の軌道自転(子球列の軌道公転)には何種類かの速度や振幅の違う回転が重なっている。親球表面軌道を軌道公転する子球対は、ときどき小規模な磁気リコネクションを起こすと考える。それがゆっくり地震や低周波地震や超低周波地震と観察される。通常の地震は断層地震なので単位時間のエネルギーの解放量が巨大だ。しかしゆっくり地震は子球対が軌道公転しながら定期的に磁気リコネクションを起こす現象だから、単位時間のエネルギーの解放量は小さいのだろう。
世界の震源分布シミュレーションの四国周辺部を拡大し、東京大学の作成した地震分布図と比較してみる。フォッサマグナや中央構造線・南海トラフに対応する「親球の空間軌跡の地表との断面」を緑色と水色で表した。そして親球半径の変化による波形を桃色で追加した。これが低周波地震の分布に相当する。桃色の親球波形は、四国の中央構造線の両側に波打つような形状をしている。私の定義では、中央構造線はフォッサマグナより東では静岡県や東京都を縦断して太平洋に出るので注意していただきたい。
東京大学が作成した地震分布図を見ると、私が作図した桃色の曲線から遠く離れた場所でも地震がたびたび起きている。波長や振幅が違う親球波形が何種類か中央構造線に巻き付くように存在し、そこで地震が起きるのかもしれない。
ゆっくり地震と低周波地震と超低周波地震は、子球列がそれぞれの波長で軌道自転しながら軌道公転し、小規模な磁気リコネクションを起こすことによって発生すると考えられる。これらの地震はプレート境界の深度30km付近という狭い範囲で起きている。地震発生地点が上から見て子球の空間軌跡に沿うのは当然だが、その深さがこれほど狭い範囲に限定されるのは何か理由があるはずだ。親球の赤道が深度30km付近にあり、そこではゆっくり地震を起こす子球のポテンシャル差が大きいのかもしれない。地球表面軌道が存在する球面は地下30q付近にあると私は推測する。これはp波(地震の初期微動)の速さが変化するモホロビチッチ不連続面が大陸の平均的な地域では地下約30 kmから40 kmにある理由かもしれない。