次は南海地震の震源域だけでなく、日本列島全体を大きく俯瞰してみよう。日本列島には正弦曲線状の「親球の空間軌跡の地表との断面」4本が集合している。中部地方でこれらの軌道は交差する。「親球の空間軌跡の地表との断面」は大雑把に言えば地震帯となる。個々の地震について分析するときは、地震の原因がこの4本の軌道のうちどれかを特定する必要があるのでそれなりに面倒だ。
まず日本の地震の分布図をご覧いただきたい。火山フロント(活火山をつないだ線)と海溝と震源分布図とを同じ図に表示すると日本列島の地震の本質が見えてくる。
レイ先生と大地君の謎解き地震学:火山フロントと沈み込み帯世界の震源分布シミュレーションの日本周辺部を拡大し、上記の震源分布図と比較してみる。フォッサマグナや中央構造線・南海トラフに対応する「親球の空間軌跡の地表との断面」を緑色と水色で表した。そして親球半径の変化による2種類の波形を桃色と赤で追加した。2種類の親球波形は、「親球の空間軌跡の地表との断面」の両側に波打つような形状をしている。赤の親球波形は世界の震源分布シミュレーションの波形と同じものだ。赤の親球波形は桃色の親球波形に比べて波長が4倍になっている。振幅も大きい。
日本列島を地質学的な観点で見ると、フォッサマグナ(大地溝帯)が中部地方を南北に横断している。古い地層でできた本州の中央をU字型の溝が南北に走り、その溝に新しい地層が溜まった状態になっている。フォッサマグナにはかなりの幅があるが、基本的には2本の緑色の「親球の空間軌跡の地表との断面」に挟まれた地帯と思われる。ただし、2本の軌道のそれぞれに親球の半径変化による波形が乗っているので、フォッサマグナの境界は直線状でなく正弦曲線状になる。西側の軌道は「ナウマンのフォッサマグナ」と呼ばれ、東側の軌道は主に関東平野や新潟県に該当するようだ。ちなみに東側の軌道は太平洋に出ると伊豆諸島となる。西側の軌道は富山県あたりで日本海に出ると進路を北東に変え東北地方の沿岸と並走する。
世界ジオパークのまち糸魚川市:フォッサマグナとはまた、中央構造線と呼ばれる巨大断層が九州から関東地方まで日本列島を縦断している。中央構造線とは、四国を縦断する水色の「親球の空間軌跡の地表との断面」と思われる。桃色で表示した四国の低周波地震分布の親球波形や、赤で表示した世界の震源分布のような親球波形を乗せることができる。私の定義では、中央構造線は糸魚川ー静岡構造線より東では関東地方を通って茨城県から太平洋に出る。その先は東北地方沿岸を北上し、日本海溝のやや東で地震の巣となる。ただし宮城県沖あたりで進路をやや西向きに変えて東北地方に若干接近する。
もう一本の水色の「親球の空間軌跡の地表との断面」は四国沖の南海トラフに対応する。ここにも低周波地震帯がある。ここで地殻が熱せられ、フィリピン海プレートがユーラシアプレートに沈み込む。この軌道も糸魚川ー静岡構造線より東では関東地方を通って茨城県から太平洋に出る。その先は東北地方沿岸を北上し、地震の巣となる。中央構造線の延長と東北沖で並走するが、より日本列島に近い。この軌道は関東地方あたりでは中央構造線とほとんど重なっている。厳密にはこの軌道と中央構造線との交点は静岡県から東京都あたりに位置するようだ。
本題の日本の震源分布について、東北地方を例にして説明したい。先ほどの火山フロント(活火山をつないだ線)と海溝と震源分布図とを同時に描いた図を再掲する。この震源分布図は非常に興味深い情報を含んでいる。拡大して細部まで見ると、おそらく予想もしなかったような幾何学図形が見えてくるだろう。私が描いた「親球の空間軌跡の地表との断面」やそれにからみつく親球波形は作図の精度が低いので、ここからはこの震源分布図そのものを分析することにする。
レイ先生と大地君の謎解き地震学:火山フロントと沈み込み帯四国を縦断する中央構造線の延長は茨城県あたりから太平洋に出て東北沖を北上する。そして宮城県沖で日本海溝東の地震域にまで達すると思われる。四国九州間での挙動から類推すると、この軌道は宮城県沖の地震域から内陸側に折り返して北海道に向かう。この軌道は幅の狭い地震地帯となっている。以後便宜的に「東北沖東側地震帯」と呼ぶことにする。
けれども、東北地方の地震の主役は、四国沖の南海トラフの延長だ。この軌道も茨城県あたりから太平洋に出て東北地方沿岸と重なるように北上する。何種類も親球波形を乗せているのか、幅の広い地震地帯となっている。以後便宜的に「東北沖西側地震帯」と呼ぶことにする。南海トラフではこの軌道の地震はそれほど頻繁ではなかったが、フォッサマグナとの交差点を過ぎるとこの軌道の地震は格段に増えている。伊豆諸島を通って北上してきた地震エネルギーがこの軌道に引き渡されたか、磁気リコネクションによって親球が励起したのかもしれない。
東北沖西側地震帯の左右には、少し離れて火山フロントと日本海溝付近の地震帯とが並走している。両者は驚くほど幾何学的に左右対称に分布している。これは偶然ではありえない。
東北沖西側地震帯には、軌道公転する祖球対の表面2軌道の交差点が地表と接する場所が点々と連なっていると考えられる。地表と直交するように、それぞれの地点を祖球表面2軌道が貫いている。時折それぞれの地点を親球が重なりながら通過する。このとき重なった親球の表面軌道で、互いの子球が重なって磁気リコネクションを起こす可能性がある。これが日本海溝付近の大きめの地震になると思われる。火山フロントの火山も同じ原理だ。
親球の直径は準位によってまちまちだ。最低準位だと親球の半径はほぼゼロになり、親球の磁気リコネクションの発生点は「親球の空間軌跡の地表との断面」と一致すると考えられる。だが東北沖西側地震帯の親球はエネルギーが大きく、励起しているようだ。励起した親球は半径が大きく、東北沖西側地震帯からかなり左右に離れた地点でも磁気リコネクションを起こすらしい。
異なる親球に属する子球の間で大規模な磁気リコネクションが起きているとしたら、同じ親球の子球で小規模な磁気リコネクションが多発していてもおかしくない。親球表面2軌道は常にぴったり重なっており、子球が重なって子球対になっているらしいからだ。ゆっくり地震や低周波地震はこの種の地震だろう。この子球対の地震はプレート間のひずみによる断層地震よりも規模が小さいので、震源分布図には表れない可能性がある。それらしい地震がないか丁寧に探してみよう。
震源分布図の左下隅に目を転じていただきたい。じっくり見ると、何か幾何学図形が見えてこないだろうか。私には九州ほどの大きさの同心円が見える。地震発生地点の分布がなんと同心円状になっているのだ。しかも、拡大して見ると円周上に小さい円がいくつも配置されていたりする。よく見るとこのような同心円図形があるのはここだけではない。伊豆諸島から東北にかけても、たくさんの同心円図形が存在している。現行の地震理論ではこの同心円図形は説明できない。断層地震の原理から考えると、地震はプレート間の固着域(アスペリティ)で起きる。だとするとプレート間の固着域が上から見て同心円状に分布していることになるが、ちょっと信じがたい。
この同心円図形は親球だろう。直径は500km弱というところか。円周上の小さい円は子球だろう。しかし、よく考えると階層球列モデルでは親球表面軌道は球面らせん状であり、同心円状ではないはずだ。ということは、多層球面である親球の断面が見えていることになる。つまり、親球で地震が起きるのは親球の赤道付近だけと考えられる。子球のポテンシャル差が大きいのだろう。
とは言え、話は単純ではない。なぜなら、沖縄付近の同心円図形を見ると、震源の深さを表す色が西側で徐々に黄色に推移しているからだ。震源の深さが異なるのに、同心円が保たれていることになる。これを合理的に説明するには親球がエレベーターのように上下に移動していると考えるしかないのではなかろうか。祖球表面軌道が地表にほぼ直交していて、その軌道を親球が上下し、時折親球の赤道付近で磁気リコネクションを起こすと仮定する。ただしこの地震は非常に微弱で、本来地震として観測されるほどの規模ではない。だが、その場所の岩盤にひずみがたまっていると、固着域がずれて観測可能な規模の地震になるのではなかろうか。プレート沈み込み境界の斜面は西になるほど深いから、西側のほうが震源が深くなると考えられる。つまり、この地震の主なエネルギー源は地殻にたまった物理的なひずみだが、トリガーとなるのはゆっくり地震などの子球の磁気リコネクションということになる。
ただし、だからと言って磁気リコネクションが地震の主なエネルギー供給源になっている場合がないとは限らない。仮説に過ぎないが、磁気リコネクションの原理で南海地震と東南海地震を説明してみたい。 親球表面軌道の子球対はときどき磁気リコネクションを起こす。この磁気リコネクションは周期的に強くなったり弱くなったりするが、その規模は小さい。磁気リコネクションを起こすふたつの子球のポテンシャル差が一定の範囲に収まっているからだ。祖球対表面2軌道の別々の親球の子球が重なって起こす磁気リコネクションはそれよりも大規模になるが、それでも超巨大地震というほどではない。しかし、地球表面軌道の「北極から南極への往路」と「南極から北極への復路」が交差するとき、「往路の親球の子球」と「復路の親球の子球」とのポテンシャル差は大きい。したがって互いの子球間で大規模な磁気リコネクションが起きうる。それを頭に入れた上でこのサイトの図をご覧いただきたい。
YAHOO!JAPANニュース:巨大地震は予測できるか? 揺れない「ゆっくり地震」との関係中央構造線付近では深部低周波地震が、南海トラフ付近では浅部低周波地震が起きている。地球表面軌道の「往路に属する親球列」と「復路に属する親球列」で、それぞれの子球対列が小規模な磁気リコネクションを起こしていることを示す。だがそれとは別に、中央構造線と南海トラフの中間に南海地震や東南海地震の震源域が存在する。2本の軌道の間の距離がそれほど離れてなく、互いの親球表面軌道の子球が重なって磁気リコネクションを起こす可能性のある場所でこれらの超巨大地震は起きている。