●プラズモイドとコロナ質量放出

太陽フレアの際に、太陽表面から一定の磁場構造を伴ったプラズマの塊が飛び出してくることがある。これをプラズモイドと呼ぶ。このサイトの2番めの動画には、プラズモイドが噴出する瞬間が見事にとらえられている。

天文学辞典:プラズモイド

しかしプラズモイドの磁場構造の測定は容易でなく、研究もあまり進んでないように見受けられる。私の考えでは、プラズモイドとは磁気リコネクションによって子球表面軌道から孫球がはじき出される現象だ。

プラズモイドをはじき出す軌道の形には特有のパターンがあると思われる。表面軌道が曲がりくねり、その軌道の一部が交差している子球を想像してほしい。この軌道交差点で、ふたつの孫球が衝突し磁気リコネクションを発生させると仮定する。条件がそろうと、衝突した孫球が重なった状態で軌道からはじき出されることがあると考える。これは子球表面軌道のどこででも起こるような現象ではなく、軌道の曲がり具合が衝突による孫球の放出に適していなければならない。

XRT20170910 Al poly noaxis rev2

引用した動画では太陽表面のプラズマガスの高温部が橙色で示されている。動画の3秒あたりで磁気リコネクションとともにプラズモイドが噴出する。ところで、見落とされがちだがプラズモイド噴出後のカスプ状構造の横に弧を描く橙色のプラズマが存在している。この形状には見覚えがある。先ほどシミュレーションした長寿命フレアの構造にかなり似ている。ひょっとして、さっきの長寿命フレアの中心部と同じ形の軌道を見ているのではなかろうか。先ほどの長寿命フレアの視線方向を変えた画像を用意してみた。両者の子球表面軌道は同じものと判断してよいのではないか。

プラズモイド

だとすると、動画のプラズモイドの発生場所とシミュレーション軌道とを比較して次のことがわかる。このプラズモイドは、2本の子球表面軌道が曲がりながら接近して「接触」する地点で発生している。この地点は極座標で子球表面軌道を描くときの原点だ。この地点でふたつの孫球が衝突し、弾き飛ばされた孫球がプラズモイドになると想像される。上空へ噴出するプラズモイドの軌道が直線状なのは、逆方向の角運動量が打ち消し合ったからだろう。

引用した動画の後半ではカスプ状軌道の頭頂部で小規模な磁気リコネクションが何回も発生し、高温部が生まれている。子球表面軌道の交差点で互いの軌道の孫球が衝突し、「通常の」磁気リコネクションを起こすのだろう。繰り返し磁気リコネクションが起きているからには、最初から子球はふたつ存在し、その表面軌道がぴったり重なっていたのだろう。


ところで、コロナ質量放出(CME)という太陽からの突発的な噴出現象がある。プラズモイドに似ているが、噴出するプラズマが巨大な質量を持つという特徴がある。ここで参考になるのは、コロナループには場合により質量を蓄積させる性質があることだ。ウイキペディアによると「両方のフットポイントから対称的な流れが発生し、ループ構造に質量が蓄積されることもある」そうだ。

ウイキペディア:コロナ

電磁力を双極的な作用とすると、重力とは四重極的な作用だと私は考えている。コロナ質量放出ではふたつの子球が重なっていて、お互いの軌道に逆向きに移動する孫球列が存在するのではなかろうか。この子球対は四重極として重力を持つ。そして親球表面軌道(コロナループ)で質量として観測されるのではなかろうか。その後子球対が太陽からプラズモイドのように放出されてコロナ質量放出となるのだろう。



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