低気圧を分類するといくつかの種類がある。中には異常気象をもたらすものがあるので触れておきたい。
最初は熱帯低気圧、すなわち台風だ。ご存じの通り、強風域や暴風域を伴って強い雨や風をもたらす。台風も科学ではまだわかってないことが多い。
ウイキペディア:台風超大型と呼ばれる台風は風速15m/sの強風域が半径800km以上もある。日本列島規模の現象だから、子球よりも階層が一つ上の親球だろう。スーパーセルと同様に、台風は4次元超球面の3次元断面の式で表される。中心軸は鉛直だ。台風を親球とすると、台風の目を囲む壁雲(アイウォール)は親球の内管だ。その外側にらせん状に分布する降雨帯(スパイラルバンド)は親球表面軌道だ。スパイラルバンド上に並ぶのは子球、すなわち積乱雲の集合体ということになる。
欧州宇宙機関(ESA)が宇宙から撮影したこの写真では、スパイラルバンドの子球の頭頂部の構造が確認できる。
THE EUROPEAN SPACE AGENCY:Above Hurricane Florence横から見た台風の断面はこのようになっていると想像されている。この断面図に合わせて台風をシミュレーションするとこのようになる。台風の下半分は地下にあると想像してほしい。スパイラルバンドは2本作図したが、親球表面軌道の子球列の配置によってはスパイラルバンドが何本もあるように見えることがある。
違う角度から見るとこのようになる。
ただし常にこのような形になるとは限らない。大型台風は地上部が何層にも積み重なったような構造をしている。4次元の回転数が多いからだ。親球の全体像と地上部可視部分はそれぞれこのような形になる。台風断面図の横線で示された対流圏界面(Tropopause)より上には雲は存在できないからだ。本当は地上部の壁雲の上には何倍もの高さの不可視部分があることになる。シミュレーションは子球列を省略した。
台風の目には上昇気流と下降気流が共存する。何層も存在する親球の内管に沿って成層圏と対流圏とで気流が循環しているからだろう。対流圏ほど強くはないが、成層圏にも気流が存在する。台風の目は二重になることがあるが、台風の目にあたる部分に逆円錐形の親球内管が何層も存在するからだ。また、台風の目の大きさは台風によって違うが、その理由は台風の形が4次元の回転数によってそれぞれ違うことと、台風が半分以上地下にあることだと思う。
また、台風の目は円形とは限らず楕円形や多角形になることがある。2003年のハリケーンイザベルの台風の目は「アイウォールメソ渦」という5個の渦が出現し、いびつな五角形になった。子球列が見えていると思われる。このアイウォールメソ渦群の外側では厚い壁雲に隠されて子球は見えず、また内側では下降気流のため雲ができず子球が見えないのだろう。シミュレーションを並置する。
多角形眼を伴った台風SONGDA(2004)のエネルギー解析
台風の発生原因について考えてみたい。亜熱帯や熱帯で海から供給される大量の水蒸気が上昇し、空気が渦を巻いてできるのが熱帯低気圧だ。これが最大風速17.2m/sを超えると台風となる。台風が発達する機構についてはよく調べられている。しかし、熱帯低気圧が発生するきっかけについてはいまだ統一した見解がない。
私のモデルでは台風の下半分は地下ないし海面下に存在する。したがって、台風の発生原因を調べるには、海面より少し下の台風の中心部分の海水温度を調べねばならない。海水温度には、海流や日照による熱量のほかに親球の磁気リコネクションによる発熱が影響するかもしれない。しかしそれ以上に重要なのは、台風のタネとなるような渦の存在ではなかろうか。たとえば北半球では、たとえ熱帯低気圧が成長するのに十分な高温でも、もとになる「反時計周りの渦度」が存在しなければ台風は生まれない。この渦を提供するのが海面下の親球ではあるまいか。この写真では、台風のもととなる積乱雲がアルファベットl字型に並んでいる。
災害をもたらす低気圧には、台風のほかに寒冷低気圧(寒冷渦)がある。積乱雲が発達してしばしば激しい雷雨や集中豪雨(冬季は大雪)をもたらす。偏西風から切り離されてできるので切離低気圧と呼ばれることもある。偏西風のジェット気流の蛇行が激しくなり、蛇行が低緯度側へ張り出した部分(気圧の谷)が切り離されて独立した渦となることで発生する。寒冷渦の寒気は地表に接したほぼ直円形のドーム状をしている。なお、ほぼ直円形の形状を持つ低気圧は熱帯低気圧と寒冷低気圧だけだ。
ウイキペディア:寒冷低気圧上空の地球表面軌道からはずれた親球であることは明らかだ。外観も台風と似ている。問題はなぜ親球が軌道からはずれるかだ。親球は地球表面2軌道を軌道公転している。この2軌道は随所で交差するが、その交差点で親球がぶつかった場合、ぶつかり具合によってはどちらかが軌道からはずれやすいのかもしれない。祖球が励起した場合偏西風の蛇行が激しくなり、親球と親球の衝突が軌道間で起きやすくなる可能性もある。
同様に、高気圧の親球が地球表面軌道からはずれる場合もある。高気圧が偏西風の移動ルートから切り離されて独立し、同じ場所に長期間居座って大規模な高温状態が続くことがある。この現象をブロッキング高気圧と呼び、日本でも夏の異常高温が起きる。
ブロッキング高気圧はΩ型と双極型とに分類される。Ω型はブロッキング高気圧だけが発生する。単純に親球が軌道からはずれる現象だろう。双極型はそれよりも複雑で、ブロッキング高気圧と低気圧が南北に組になって発生する。
地球表面軌道の交差点に祖球がふたつ重なるように存在するとき、互いの祖球表面軌道は祖球の南端あるいは北端で交差する可能性がある。この交差点で親球が衝突して軌道からはずれると考えられる。南端と北端の両方で同時に親球が軌道からはずれる場合に双極型になると思われる。
災害をもたらす低気圧にはほかにも爆弾低気圧がある。温帯低気圧であるが急速に発達し、熱帯低気圧(台風)並みの暴風雨をもたらす。爆弾低気圧は非常に発達するので強風に伴い高波を発生させるほか、地震波のp波・S波も発生させるらしい。…なんと、地震波のp波・S波を発生させる?これはもう磁気リコネクションを起こしているとしか考えられない。台風と同様に地下に中心があり、そこで磁気リコネクションを起こすのだろう。磁気リコネクションは巨大な熱を発生させるから、その熱で低気圧が急発達すると想像することも可能だ。
爆弾低気圧とは違うが、2019年にストームクエイクという新種の地震がアメリカで発見されている。台風などの強力な嵐によって、海底ではマグニチュード3.5クラスの地震が頻繁に起きているらしい。台風や低気圧は地上だけの現象という考えは改めたほうがいいのだろう。