今まで述べたように、階層球列で説明できる地形はいろいろある。だが、その中でも階層球列の特徴を最もよく示すのはトランスフォーム断層と海嶺だと思う。階層球列の持つ数学的規則性なしにこの地形は説明できない。複数の階層の球列と磁気リコネクションの知識が必要とされる。つまり私にもよくわかってないのだが、ここを避けて通るわけにはいかない。
プレートテクトニクスが認められるまでにはさまざまな研究が積み重ねられたが、その一つに海洋底拡大説がある。海洋地殻は海嶺で生み出され海溝で消滅するという学説だ。海嶺周辺で数万年ごとに起きる地磁気の逆転は海嶺の左右の岩石に対称に記録されており、これを磁気縞模様と呼ぶ。
ウイキペディア:プレートテクトニクス1963年にこの逆転がテープレコーダーモデルとして理論化され、海嶺を中心として地殻が新しく生産されている証拠とされた。それを踏まえて1965年にはトランスフォーム断層の概念が提唱された。大西洋中央海嶺で顕著なこの断層は、海嶺をギザギザに寸断し異様な外見をしている。
ウイキペディア:トランスフォーム断層トランスフォーム断層について実際のところわれわれはどこまで理解しているのだろうか。たとえば、トランスフォーム断層の延長線上には最大長さ 3000〜4000km、垂直変位 2000〜3000mに及ぶ巨大な海底断層崖すなわち断裂帯が存在する。断裂帯を境にして地殻の厚さや重力も異なっている。重力が変化する理由は地球物理学ではまだわかっていない。
ことバンク:断裂帯また、海嶺を細かく調べると何段階もの階層構造があり形成機構がわからない。海嶺の全長は地球を何周もするほど長いが、トランスフォーム断層でいくつものセグメントに区切られ、そのセグメントがまたいくつものセグメントに細かく分けられる。何重にも入れ子構造になっているようだ。
海洋底ダイナミクス 2018:6. 中央海嶺(2)中央海嶺の構造トランスフォーム断層および海嶺の形成過程を推測してみたい。簡潔に言うと、祖球対表面2軌道の交差点では異なる親球の子球対の間で比較的大規模な磁気リコネクションが起き、トランスフォーム断層の地震になる。祖球対表面2軌道の交差点以外(交差点の前後を含む祖球対表面軌道)では同じ親球の子球対で小規模な磁気リコネクションが起き、海嶺軸の地震になる。これらの磁気リコネクションが起きる場所は子球のポテンシャル分布により地表よりも少し下に限定される。
詳しく説明してみたい。私のモデルでは地表の数十キロメートル下に不可視の球面が存在し、球面らせん形の地球表面軌道が張りめぐらされている。地球表面軌道には祖球対列が存在する。祖球対表面2軌道にはそれぞれ親球列が存在し、親球には表面2軌道が存在する。ただし親球表面2軌道はぴったりと重なり合い1本の軌道のようになっている。親球表面軌道には子球対列が存在する。子球対表面2軌道にはそれぞれ孫球列が存在する。
○トランスフォーム断層
個々の祖球対には鏡面対称な球面らせん2軌道があり、2軌道の交差点を結ぶと祖球対の子午線状になる。この子午線は地面に対し水平になっており、地表より少し下に位置している。祖球対表面2軌道の交差点では、それぞれの軌道の親球がときどき重なる。重なった親球の表面軌道で、それぞれの子球対が重なって磁気リコネクションを起こすと考える。このとき生成する断層がトランスフォーム断層だ。異なる親球に属する子球は互いのポテンシャル差が大きいので、この磁気リコネクションは比較的大規模になり、トランスフォーム断層における地震として観測される。
祖球対表面2軌道の交差点は上下の幅が狭く、また二つの親球の中心軸の向きが一致する領域も狭いから、磁気リコネクションが起きる深度はごく限られた範囲になる。つまり、この磁気リコネクションは「祖球対表面2軌道の交差点を結ぶ円周(祖球対の子午線状)」に沿って、地表より少し下の限られた深さで起きる。ところが祖球対は地球表面軌道に沿って軌道公転している。静止した「祖球対表面2軌道の交差点を結ぶ円周」は、軌道公転すると「地球表面軌道の左右に正弦曲線を配置したような形」として観測される。これが「親球の空間軌跡の地表との断面」だ。この「地球表面軌道の左右の正弦曲線」には祖球対表面2軌道の交差点が点々と並ぶ。
この「地球表面軌道の左右の正弦曲線」は言わば定常波になっており、腹や節の位置が移動しない。したがって点々と並んだ軌道交差点も軌道公転せず位置が移動しない。この交差点では時折2軌道の親球が重なる。そしてその表面軌道の子球対が重なって周期的に磁気リコネクションを起こし、トランスフォーム断層を形成する。別々の親球の表面軌道の子球が重なって磁気リコネクションを起こしうる場所は精密に決まっている。したがってトランスフォーム断層の位置は地球上の同じ位置から移動しない。
○海嶺
ところで、祖球対表面軌道の親球はもともと表面2軌道がぴったり重なっており、その軌道に子球対列が存在する。この子球対列はかなり頻繁に小規模な磁気リコネクションを起こすと思われる。この磁気リコネクションは熱によりマグマを生成し海嶺を作り、海嶺軸における地震として観測される。この磁気リコネクションはふたつの親球の間で起きるのではなくひとつの親球で完結する。したがって祖球対表面2軌道の交差点に限定されないので、地球表面からの深度に多少幅がある。「祖球対表面2軌道の交差点を結ぶ円周」より多少浅くても深くてもかまわない。だが、子球対列のポテンシャル分布のせいか、子球対が磁気リコネクションを起こすのは親球の赤道付近だけらしい。そのため比較的狭い範囲でしか磁気リコネクションが起こらないようだ。それでも「祖球対表面2軌道の交差点を結ぶ円周」限定のトランスフォーム断層の地震よりは地震が起きる深さに幅があるようだ。
ところで実際に磁気リコネクションを起こすのは子球表面軌道を軌道公転する孫球である。子球対は親球表面軌道に沿って軌道公転しているから、子球表面軌道の孫球の空間的な軌跡は親球表面軌道に沿って細長く引き伸ばされている。親球表面軌道は地表に対してほぼ平行だから、孫球の空間軌跡は「親球表面軌道のなだらかな曲線に、不規則にらせんを巻き付けたような形」になる。シミュレーションするとこんな感じになるだろう。この空間軌跡に沿って孫球がときどき磁気リコネクションを起こしながら移動すると海嶺になると思われる。先述の海洋底ダイナミクスの資料22ページのAxial Depth Profileとはこのような原理ではなかろうか。
祖球対も親球も子球対も孫球も不可視で、おまけに磁気リコネクションが起きている場所は地下にあるので地上からは何が起きているのかさっぱりわからない。しかし、孫球が磁気リコネクションを起こすと熱が発生する。この熱が岩石を溶かしてマグマを生成し、海嶺からマグマを海底に噴出させる。マグマは海底に沈殿し、孫球の磁気を記録した状態で海嶺の左右に運ばれることになる。
断裂帯(トランスフォーム断層)を境にして重力が異なるのは、ポテンシャルが異なる親球に属する孫球が磁気リコネクションを起こすからと思われる。磁気リコネクションを起こす孫球のポテンシャルが違うと、発生する重力の値も違ってくると私は想像している。私のモデルが正しければ、海洋底拡大説の証拠とされた海洋底の磁気縞模様は地球の磁気によって記録されたのではない。地球の磁気とは別の、孫球という磁気発生要因の磁気を記録している。
なお、このモデルでは海洋プレートが移動することを説明できるが、大陸が移動すると考える必要はない。たとえば最初に唯一の巨大大陸があったと仮定する。その状態で地球表面軌道の形と祖球対列の回転数やポテンシャル分布が与えられれば、長い時間ののちにはおおむね現在のような大陸分布になると思われる。