●プレートテクトニクスとプルームテクトニクス

階層球列モデルで大陸の輪郭がシミュレーションできるからには、階層球列はプレートテクトニクス理論と関係があると考えられる。プレートテクトニクス理論について調べてみよう。

1912年にドイツのアルフレート・ヴェーゲナーが大陸移動説を提唱し、大陸は地球表面を移動して位置や形状を変えるという概念が生まれた。この考えは1960年代後半以降に発展し、地球の表面は何枚かの固い岩盤(プレート)で構成されていると理論化された。このプレートが互いに動くことで大陸移動が引き起こされる。

ウイキペディア:プレートテクトニクス

しかし問題は、プレートを移動させる動力源がずっと不明であったことだ。これはヴェーゲナーの大陸移動説が長い間受け入れられなかった理由でもある。その動力源はマントル対流という一種の熱対流なのか、それとも海洋プレートの自重による海溝への沈み込みなのか、今日でも論争がある。だが、本当にそれらの要因だけでプレートの移動が説明可能なのか私は疑問を抱く。海洋プレートが移動する原因は地球表面軌道に祖球対列や親球列が存在することだと私は考える。祖球対表面軌道の親球のポテンシャル分布に合わせて磁気リコネクションが起き、熱が発生する。その結果海嶺でマグマが噴出し、海溝でプレートが折れ曲がって沈み込むのだろう。


プレートテクトニクスが明らかにした世界のプレート境界と私の海底地形シミュレーションとを比較してみてほしい。プレート境界が親球列の空間軌跡の地表との断面にだいたい一致していることをご理解いただけるのではなかろうか。

世界のプレート境界 海底地形シミュレーション

この海底地形シミュレーションは先ほど表示したものより凹凸が多いが、詳しくは後述する。


1990年代以降、マントル内の大規模な対流運動(プルームあるいはプリューム)の動きを理論化するプルームテクトニクスという学説が提唱された。プレートテクトニクスが地球の表面に存在するプレート(厚さ約100km)の変動を扱うのに対し、この学説では深さ2,900kmに達するマントル全体の動きを検討する。

ウイキペディア:プルームテクトニクス

しかしプルームテクトニクスは世界的にはいまだ仮説として扱われている。噴出するプルームの量や溶融した岩石の成分を子細に調べると整合性がないからだ。また、プルームの根がいったいどの程度の深さにあるのか学者の間で見解が分かれている。そのためこれを標準的な理論とすべく、提唱した日本人学者らによって証拠が集められている。そのための手法の一つに地震波トモグラフィーがある。

地震波トモグラフィーとは、地震波の伝播時間を用いて地球内部の3次元速度構造を求める手法のことだ。生体内や物質を非破壊的に観察するにはコンピュータ断層撮影(CT)や核磁気共鳴という手法があり、エックス線やガンマー線を用いることをご存じだろう。同じように、地震波トモグラフィーは地球内部を観察するために地震波を用いる。エックス線CT等が物質の密度の分布を画像化するのに対し、地震波トモグラフィーは地球内部を通る地震波の速度の分布を画像化する。

ウイキペディア:地震波トモグラフィー

地震波トモグラフィーで解析された地球内部のS波速度偏差分布図を図示する。赤の領域は地震波速度が遅い領域、すなわち地中温度が高くマントルの溶融度が高い領域に対応している。磁気リコネクションによる熱の発生が多い場所を示すと考えられる。

Incorporated Research Institutions for Seismology:A global radially anisotropic mantle shear velocity model with improved crustal corrections
地震波トモグラフィー

この地震波トモグラフィーは、「地球表面軌道」が地表付近だけでなく地球内部にも存在することを示すと思われる。地球表面軌道が存在する球面は何層も玉ねぎ状になっているらしい。これらの軌道を地球表面軌道と呼ぶのは変なので、今後は地球内部の軌道を地球内層軌道と呼ぶことにする。


深さ150q、300q、450q、600qの画像は速度偏差が大きくわかりやすいのでシミュレーションしてみた。太平洋部分の渦巻きを見るとわかるが、深度が浅いほど渦巻きが拡大され大きく見えているようだ。理由はわからない。もしこれが地震波トモグラフィーの表示方法のせいでないとすれば、地表から深くなるほど地球内層軌道の回転数は増加していることになる。

地震波トモグラフィー   地震波トモグラフィー

地震波トモグラフィー   地震波トモグラフィー

地震波トモグラフィー   地震波トモグラフィー

地震波トモグラフィー   地震波トモグラフィー

この地震波トモグラフィーは、磁気リコネクションの発熱量が地表からの深さによって違うことを示していると思われる。祖球のポテンシャル分布が違うのだろう。しかし、地球表面と地球内層の球面らせん軌道の中心軸は共通のようだ。また、360度を10等分して、中心角36度ごとに「親球の空間軌跡」の腹や節があることも共通している。深さ450kmと600kmの軌跡はよく似ているが、パプアニューギニアの北あたりの温度が違う。そのためシミュレーションではポテンシャルの初期位相を少しずらしてみた。なお、深さ300qの画像には細かい温度変化があるので、シミュレーションの正確さの確認に最も適している。



[トップページへ]  [>プレ1] [>プレ2] [>プレ3]  [>プレ5] [>プレ6]