祖球のみならず親球とか子球とか孫球とか、目に見えない球体を私はいくつも仮定している。なぜそれほど多くの階層を仮定する必要があるのかというと、実際に自然には多くの階層があるからだ。これらの階層に対応する地形が地球には存在する。たとえばアフリカ北西部にはリシャット構造という直径約50kmに及ぶ巨大な環状構造地形がある。励起した親球の中心部ではなかろうか。4次元超球面の3次元断面の式によるシミュレーションを並置する。
ウイキペディア:リシャット構造しかし、私の知る限り階層球列の証拠となるような地形は陸上よりも海底に多く存在する。具体的に階層球列に対応する海底地形を探してみる。
まず祖球だが、海嶺は祖球対が地球表面軌道を移動したときの「祖球対表面軌道が描く軌跡の地表との断面」だ。海嶺は海底山脈のような細長い地形で、総延長は約8万qもあり地球を2周する。そして地上の山脈と違うことが一つある。すべての海嶺はつながっている。地球表面軌道に由来する当然の性質だが、普通に考えれば不思議だろう。
次に親球だが、「祖球対表面軌道が描く軌跡の地表との断面」は細かく見ると数本の「親球列の空間軌跡の地表との断面」でできている。伊豆・小笠原島弧の左右には正弦曲線のような「親球列の空間軌跡の地表との断面」が並走している。
海上保安庁 海洋情報部:フィリピン海リソスフェアの理解に向けての窓:ゴジラメガムリオン次に子球だが、海洋コアコンプレックスという耳慣れない地形がある。沖ノ鳥島南東約700kmの海底に存在する特に巨大なドーム状の岩塊をゴジラ・メガムリオンと呼ぶ。その大きさは縦125キロメートル・幅55キロメートルもある。この論文のFig.2のゴジラ・メガムリオンの構造は特徴的だ。右上から左下へ何本も平行線状の地形が存在する。それに直交するように、もっと間隔の狭い平行線状の地形が存在する。前者が子球の軌跡、後者が孫球の軌跡と思われる。孫球の軌跡に上書きしたかのように子球の軌跡に平行に存在するゴジラ・メガムリオンは、子球表面軌道の孫球が周期的に磁気リコネクションを起こした痕跡と思われる。
背弧海盆における海洋コアコンプレックスの発達次に孫球だが、ギヨーという山頂部が平坦な海山は孫球と疑われる。ギヨーは海洋底と山頂との比高が1000m以上の孤立した円錐形の海山で、西太平洋に多く存在する。ギヨーの平頂面からは火山性の玄武岩が見つかっている。孫球の低緯度で磁気リコネクションが起き、ほぼ水平な表面軌道に沿ってマグマが噴出したのだろう。
ウイキペディア:ギヨー海底に存在する巨大なマウンド(熱水噴出孔などがある小高い山)も孫球かもしれない。この論文の熱水マウンドはほぱ同心円状のドーム状の地形を示し、未崩壊の南側には数kmから数百mの広がりを持つふたつの段丘状の地形がある。
TAG熱水マウンドの硫化物の形態分類とその分布次にひ孫球だが、熱水噴出孔には磁気リコネクションを起こしているものがあるらしい。海洋研究開発機構と理化学研究所の研究グループは、沖縄トラフの深海熱水噴出域において電気化学計測を行った。その結果、深海熱水噴出域の海底面で発電現象が自然発生していることを明らかにした。ちなみに太陽では磁気リコネクションと同時に発電現象が起きている。
スマートジャパン:深海の熱水噴出域、天然の発電所であることが判明もっとも、地形という範疇にこだわらなければ親球や子球や孫球に由来すると思われる現象は地球には豊富に存在する。この文章の最後にそれらの現象を集めてみたい。