●黒点は親球南北極点の軌道交差点で子球が合体することによって発生する

黒点はどのような原理で発生するのか、そろそろ考えてみたい。黒点の生成原理は太陽物理学の重要課題である。

既に述べたとおり親球表面には2本の球面らせん軌道があり、親球の南極と北極には2本の軌道の交点が位置する。交点と言っても軌道と軌道のなす角度は固定ではなく、同軸回転によって周期的に直交したり平行になったりを繰り返している。それぞれの軌道を移動する子球がこの交点で磁力によって引きつけ合い、合体すると黒点になると私は考える。子球はそれぞれ固有の変化する磁場を持っており、相手の子球と逆極性だと磁力で引き合う。極端な場合、引きつけられた子球は相手軌道の子球と合体する。

球面らせん2軌道は親球の表面全体に規則的に張り巡らされている。ところどころで2本の軌道が交差するが、子球の中心軸の方向が違うのでこれらの交点で2軌道の子球が合体することはない。しかし、親球の南北極点では同軸回転によって周期的に2本の軌道が平行になる。そして子球の中心軸も平行になり、2軌道の子球の合体が可能になる。同軸回転によって親球表面2軌道がぴったり重なると親球表面軌道のあらゆる場所で子球の合体が可能になりそうに思えるが、子球は合体しないようだ。合体した子球が作る新軌道が親球の南北極点を通らないため、軌道として不適なのかもしれない。

親球の南極あるいは北極で子球が合体し黒点になるとする。このとき合体した子球が移動する軌道が新しく生成する。前述のとおり、この軌道は親球の南極と北極を通る円軌道になる。子球はこの円軌道を通って親球の南極や北極から太陽表面まで上がってきたり降りてきたりする。黒点対を構成する先行黒点と後行黒点の濃さが違うのは、親球の南極点から太陽表面まで子球が移動する間にプラズマガスによって加熱されることがあるからかもしれない。

子球が合体するとき、子球表面軌道の3次元や4次元の成分ごとに角運動量の合成や打ち消し合いが起きると考えられる。その結果、新しい子球表面軌道が生成し、複雑な形の黒点ができる。この画像は黒点ではないが、子球表面軌道が合体して新軌道が生成することが実際にあることを示している。

Transition Region and Coronal Explorer
子球表面軌道が合体

黒点生成条件の詳細は実際に黒点の生成期間をグラフで示しながら説明するほうがいいだろう。バタフライダイアグラムの項をお読みいただきたい。


その前に付け加えておきたいが、今までに挙げた私のシミュレーションはすべて実物と似た形の軌道が作図できたというだけのものだ。定量的な計算によって確認しているわけではないし、その現象が起きた状況に合致しているかどうかもわからない。たとえば、この研究の「ライトブリッジ磁場」をご覧いただきたい。

科学衛星「ひので」:黒点形成時に発生する爆発・ジェット現象の仕組みを解明
ライトブリッジ磁場   ライトブリッジ磁場
(c) 国立天文台

この磁場をシミュレーションするとこのようになる、と言えばそれなりにもっともらしく聞こえるのではなかろうか。

ライトブリッジ磁場

しかしこのシミュレーションは正しくない。状況から考えると、このライトブリッジ磁場は2個の別々の子球を重ね合わせた磁場と思われる。ひのでが撮影した光球表面には子球側面の球面らせん軌道(2本あるらしい)が横たわっているのが見える。2本の子球表面軌道に存在する孫球列が互いに磁力で引きつけ合って合体し、小黒点列を形成した状況と思われる。個々の孫球対の中心軸は鉛直で、頭頂部で磁気リコネクションが起きているようだ。
しかし私のシミュレーションは、1個の子球の頭頂部の子球の重なりを表現しただけのものだ。それでもこれだけ似た形が作図できる。形だけに頼ると大きな間違いを犯すことになるだろう。



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