●エバーシェッド流とMMFでわかる孫球の性質

黒点は濃い黒色の中心部と灰色の周辺部とに分けられる。中心部を暗部、周辺部を半暗部と呼ぶ。半暗部には細長い筋状構造に沿って外向きに伝わるプラズマガスの流れがあり、これをエバーシェッド流と呼ぶ。この流れの起点は黒点暗部側にある光球深部からの高温ガスの湧き出し部にあり、内部半暗部では明るい筋状構造に沿って、そして外部半暗部では暗い筋状構造に沿って音速で外向きに流れた後、半暗部外周部で沈み込む。

太陽の科学館:黒点
半暗部   エバーシェッド流


観測によると、エバーシェッド流には複雑で独特の磁場が存在する。エバーシェッド流に沿って周期的に磁場が強くなったり弱くなったりしているようだ。これは明らかに普通の磁場ではない。

太陽黒点半暗部の微細磁場構造とエバーシェッド流消失の時間関係

この微細磁場構造を「5次元超球面の3次元断面」としてシミュレーションするとこんな感じになる。「4次元超球面の3次元断面」ではなく「5次元超球面の3次元断面」の式でうまくシミュレーションできる。孫球の何かの極性が超高周波数で変化しているというイメージだろうか。

微細磁場構造


子球表面軌道を外向きに移動する孫球が、磁場によってプラズマガスに軌跡を残したのがエバーシェッド流であると思われる。「5次元超球面の3次元断面」の式でひのでの撮影した黒点のエバーシェッド流をシミュレーションしてみた。太陽表面から一定範囲の高さの孫球の軌跡を表示している。シミュレーション画像の左上部分が黒点画像に対応する。

黒点の微細構造

エバーシェッド流   エバーシェッド流

子球より階層が下の孫球が存在すると仮定したが、本当にそんなものが存在するのだろうか。
孫球は太陽物理学ではMMF(Moving Magnetic Features)と名付けられているようだ。MMFの物理的性質を知るには、人工衛星ひのでの観測結果が参考になる。MMFは黒点から周囲に向かってエバーシェッド流を移動している。小さ過ぎて現在の観測技術では詳しい性質がわからないが、この論文の記述を参考にしていただきたい。

「ひので」で黒点がどこまでわかったか? 黒点の崩壊過程 615ページ

次の資料のMMFの説明図は黒点(子球)を横から見たときの磁場を参考にしていると思われる。黒点の半暗部は複雑で微細な構造を持ち、相対的に垂直な磁場と相対的に水平な磁場とが交互に並んでいる。4次元超球面の3次元断面を横から見たシミュレーションを並置する。なだらかで水平に近い軌道と鉛直に近い軌道とが入り組んでいる。これらの資料によって、孫球の磁場の向きを推測することができる。
ALMAでみる黒点:Moving Magnetic Feature (MMF) 35、36ページ

MMF   MMF



[トップページへ]  [>黒点1] [>黒点2] [>黒点3]  [>黒点5]