4 黒点

●黒点は親球表面軌道が太陽表面と交わる断面である

太陽表面を観測した時に黒い点のように見える部分を黒点と呼ぶ。太陽について語るとき、太陽表面の代表的な磁気現象である黒点を無視することはできない。太陽表面の爆発現象であるフレアも極大期に黒点の近くで発生することが多く、黒点の磁場が関係している可能性が高い。

黒点の現れ方には規則性がある。黒点はたいていふたつが対になって東西の方向に並んで現れ(黒点対)、磁場の極性が互いに逆向きになっている。太陽の北半球に出現するか南半球に出現するかで、黒点対の磁場の極性は逆になる。黒点は太陽の自転に伴っておおむね赤道に平行な方向に移動し、長いもので1か月ほどの寿命を持つ。

ウィキペディア:太陽黒点

黒点ができる原因は太陽磁場であると太陽物理学では考えられている。おおまかには、黒点対はねじれた磁力線の束(磁束管)が太陽表面から飛び出てまた戻ってゆく経路に発生するとされている。磁束管がねじれる原因はコリオリの力などで説明される。ただし詳細は解明されていない。

黒点
(c) 国立天文台

階層球列のモデルでは次のように考える。特殊な親球表面軌道が太陽表面と交わり、その断面が黒く見える現象が黒点だ。黒点を作るのは磁束管ではなく、親球(細かい構造を問題にするなら子球)の表面軌道だ。黒点の形は、磁束管がコリオリの力でねじれることによって決まるのではない。球面の式や超球面の式の回転数によって、あらかじめ決まっている。

「特殊な親球表面軌道」という表現を使った。もともと親球表面には球面らせん2軌道がある。親球表面2軌道の子球列は、親球赤道方向に互いに逆向きに、親球極方向に互いに同じ向きに運動していると仮定する。2軌道の交差点でふたつの子球が衝突し、合体することがあると考える。赤道方向の運動エネルギーは相殺し、極方向の運動エネルギーが残る。完全非弾性衝突みたいなものだ。その結果子球対が球面らせん軌道でなく円軌道を運動するように変化したと考える。これが「特殊な親球表面軌道」と呼んだものだ。この円軌道は太陽表面に対して直立する。この円軌道と太陽表面とのふたつの断面が、対になったふたつの黒点だ。

黒点が黒いのは周辺の他の場所よりも温度が低いからとわかっている。子球が相対的に低温になっていると思われる。温度が低い理由は、この円軌道では磁気リコネクションがほとんど起きないことと思われる。子球列でなくひとつの子球対しか存在しないので、まれにしか磁気リコネクションが起きないからだ。磁気リコネクションが起きた瞬間もうその黒点は消滅している可能性さえある。


飛騨天文台が撮影した黒点対の画像をご覧いただきたい。

飛騨天文台/ドームレス太陽望遠鏡(DST)によるその他の画像例:黒点間を結ぶHαループ
黒点間を結ぶHαループ   黒点間を結ぶHαループ

対になった黒点をループが結んでいる。一般に想像される磁力線の形とは異なり、円軌道を描いている。私の黒点モデルの良い実例だが、この軌道が目で見えるのは不思議な気がする。本来単なる磁力線が光を放つことはないからだ。
この画像は特定波長の光(Hα-0.75Å)で撮影されている。Hα線は励起した水素電子のエネルギー準位が元に戻るときに放出される光だ。したがって、この円軌道上では水素電子が磁気リコネクションのエネルギーによって励起したり元に戻ったりしていると考えられる。親球表面軌道を移動する子球が、親球頭頂部で磁気リコネクションを起こしているらしい。この円軌道では親球中低緯度の磁気リコネクションが起きにくいが、親球頭頂部の球面らせん軌道の交差による磁気リコネクションが起きやすいのだろう。以前見たインパルシブフレアが参考になる。
太陽の表面温度は約6,000度であるのに対し、太陽を取り囲むコロナは約200万度という超高温であるが、その原因が太陽物理学ではまだわかっていない。これをコロナ加熱問題と呼ぶ。ずっと謎とされてきたコロナ加熱問題の原因は、この親球頭頂部の磁気リコネクションにあるかもしれない。

この黒点をシミュレーションするとこんな感じだろう。円軌道を移動する4次元超球面の3次元断面の式を使っている。円軌道が何本にも別れているのは子球表面軌道の孫球の磁気リコネクション周期のせいだろう。

黒点間を結ぶHαループ

別波長で撮影した画像よりも軌道が多く映っているとか、軌道の手前側しか見えないとか、左の黒点画像には子球の励起や磁気リコネクションにまつわるおもしろい性質が見て取れる。ともあれ、ここでは黒点と黒点を結ぶループが円軌道になっていることだけ確認しておきたい。



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