●太陽系の惑星たち

地球にも月にも階層球列が存在するとしたら、太陽系のほかの惑星ではどうなのか知りたくなる。しかしそれを調べるには人類の持つ観測データはあまりに少ない。だが、間接的に階層球列の存在を示唆するデータもある。大半の惑星は階層球列を現在持っているか、あるいは過去に持っていたのではないだろうか。
太陽系の惑星を順番に見ていこう。一つ一つ説明はせず事実を挙げるにとどめるので、ご自身で考えてみてほしい。

◆水星
水星の地表は月の地表と似ている。数十億年単位の時間を経て形成される月の海のような滑らかな面や、全球を覆うさまざまな大きさのクレーターが存在している。「二重環型衝突盆地」や「おおよそ多角形のようなパターンの平坦地」など特徴的な地形が数多く存在する。惑星の広い範囲に高さ約2km、長いものでは500kmにもなる断崖(線構造)が散在し、リンクルリッジと呼ばれる。
北半球平野部には火山噴出物が堆積してできたゴーストクレーターがよく見られる。ゴーストクレーターは地溝やリンクルリッジなどの地質学的特徴を持ち、隆起に関係している可能性が高い。

ウイキペディア:水星の地質
二重環型衝突盆地

水星で2008年10月6日に探査機メッセンジャーが2度目のフライバイを行った際、惑星磁場と繋がったまま水星半径の1/3に相当する800kmの長さに伸びた竜巻のようにねじれた磁気の束と遭遇した。

ウイキペディア:水星

◆金星
金星にはコロナと呼ばれる円形に盛り上がった地域や、中心から放射状に盛り上がりを見せるノバ、パンケーキ状に丸くひろがった台地など、円形の小地形が非常に多い。日本神話の瀬織津姫から名を取ったセオリツ溶岩円頂丘という地形もある。コロナやノバ、パンケーキ状の地形は火山活動によって形成されたと考えられている。

ウイキペディア:金星
セオリツ溶岩円頂丘

金星大気の上層部には4日で金星を一周するような強い風が吹いている。この風は自転速度の60倍以上の速度で吹く風という意味でスーパーローテーションと呼ばれる。金星最大の謎のひとつとされていたが、2020年に日本の金星探査機「あかつき」の観測データの分析で、この加速機構を担うのが「熱潮汐波」であることが明らかになった。しかしながら、金星の厚い雲の雲頂を紫外線で撮影すると、この論文の第2図のような太陽表面に似た球面らせん状の模様がある。

日本気象学会:スーパーローテーション

◆火星
探査機マーズ・グローバル・サーベイヤーによる火星の磁場の観測から、火星の地殻が向きの反転を繰り返すバンド状に磁化されていることが分かっている。この磁化バンドは典型的には幅160キロ、長さ1,000キロにわたっている。このような磁化のパターンは地球の海底に見られるものと似ている。1999年に発表された興味深い説によると、これらのバンドは過去の火星のプレートテクトニクス作用の証拠かもしれないと考えられている。

ウイキペディア:火星

火星のダストデビル(塵旋風)は、直径70メートル程度だが高さは2万メートルに達するという。

NATIONAL GEOGRAPHIC:火星の“モンスター”ダストデビル

火星の“モンスター”ダストデビル
(c) NASA/JPL/University of Arizona

◆木星
NASAが2011年に打ち上げた探査機「ジュノー」の赤外線観測によって、アンモニアの雲に隠された木星内部の様子が明らかになってきた。たとえば北極では中央にあるサイクロンの周りを8個のサイクロンが直径4000km〜6000kmの円を描いて取り囲むように並んでいる。これら9個のサイクロンはほとんど位置や規模を変化させておらず、消滅や合体といった動きも見せていない。南極部分でも中心にあるサイクロンの周りを5個のサイクロンが直径5600km〜7000kmの同心円を描いて取り囲んでいる。
ジュノーの研究チームの一員で、ローマ・ラ・サピエンツァ大学に所属するLuciano Iess氏は「ジュノーの観測では、木星の重力場は北半球と南半球で非対称となっていることが示されており、これは表面の模様とも類似しています」と述べている。

GigaZINE:木星の縞模様の大気の下には「9つのサイクロンが密集」など地球の想像を絶する世界が存在することが判明
木星の「9つのサイクロン」

木星の地磁気を詳細に観察すると、その強さは領域によってバラツキがあることがわかってきた。木星の表面の雲は細い帯に分類できる状態になっており、それぞれが個別に動いている(上の記事によると互い違いに逆の方向に雲が流れているらしい)。帯は、木星の表面から3000〜5000kmの深さにまで達しているらしい。

GigaZINE:木星の表面に現れる無数の「雲の帯」が作り出されるメカニズムの解明が進む
木星の表面に現れる無数の「雲の帯」


◆土星
2010年12月に惑星規模の大きな嵐が発生した。尾を引きながら移動し、2011年2月には土星を一周してしまうほど大きく成長した。土星で雷が発生すると、そこから電波が出てくることが知られている。今回の嵐でも電波やプラズマの観測装置によって、1秒間に10回以上もの雷が観測されている。しかし正確に数えようにもあまりに数が多いため、ミリ秒単位に分解できる観測装置をもってしても分けて見ることはできなかった。

AstroArts:カッシーニが捉えた土星の嵐と雷の「音」
土星の嵐

土星大気には、北緯78度付近で北極を取り囲む固定的な六角形の波紋がある。シミュレーションするとこんな感じだろうか。球面らせんを軌道公転する5次元超球面の3次元断面の式を使った。

ウイキペディア:土星の六角形
土星の六角形   土星の六角形


◆天王星
ボイジャー2号によって、天王星に磁場の存在が確認された。その強さは地球とほぼ同じである。天王星は主成分が水なので氷惑星と呼ばれることもあり、理論的には電磁石になりにくい。そのためなぜ天王星に磁場があるかはわかってない。地球や木星と大きく異なる特徴として、磁場の中心は惑星の中心から大幅にずれており、また磁場の軸が自転軸から60度も傾いている。また、自転軸の傾きのため、天王星は極周囲の方が赤道周囲よりも太陽からの熱を受けているが、なぜか赤道周囲の方が極地よりも温度が高い。この理由もまだ解明されていない。
2011年に北半球でかなとこ雲に相当する白い雲が観測された。これは、メタンの氷で出来た雲と考えられている。

ウイキペディア:天王星
天王星


◆海王星
海王星も天王星と同じく氷惑星だが磁場がある。その磁場は海王星の自転軸に対して47度も傾いており、磁気軸が海王星の物理的中心から少なくとも海王星の半径の0.55倍もずれている。この磁場は、薄い球殻状に分布している導電性の液体(おそらくアンモニア、メタン、水が混合している)の中での対流運動によって引き起こされるダイナモ作用によって発生しているかもしれない。海王星の磁場は、強い四重極モーメントを含む。 1989年に縦6,600 km、横幅13,000 kmに渡る高気圧性の嵐構造である大暗斑がNASAのボイジャー2号による観測で発見された。大暗斑の下に見える白い雲の塊からなるもう1つの嵐はスクーターと呼ばれ、大暗斑よりも速く移動していた。

ウイキペディア:海王星
海王星大暗斑


◆冥王星
惑星から準惑星に降格した冥王星の地表にはいくつも多重クレーターが見える。

ウィキペディア:冥王星

冥王星の表面には筆記体l字形軌道がふたつ重なったような特徴的な模様がある。球面の式でこの模様をシミュレーションしてみた。それぞれの軌道の中心軸は一致せず違う方向を向いている。

冥王星   冥王星



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