もうひとつ太陽表面の磁場分布を示す資料を挙げてみたい。
太陽の周囲にはヘルメットストリーマと呼ばれる太陽規模の閉じた磁力線のループが存在する。
極大期と極小期とでヘルメットストリーマの形は違う。左が極大期、右が極小期の画像だ。この形の違いを私の磁場図から説明してみたい。原理は単純だ。へルメットストリーマは互いに逆極性の親球磁場を磁力線が結んだものだ。遠くにある親球でも、逆極性の磁場が強ければ磁力線のループが発生する。近くにある親球でも、同極性の磁場だと磁力線のループは発生しない。
私の磁場図では、極大期には太陽極域の親球の磁場が弱くなる。逆に中低緯度の親球の磁場が強くなる。また、太陽表面の至るところで、往復の球面らせん軌道の磁場の極性が互いに逆になる。したがって太陽を横から見ると、中低緯度の何か所かで、太陽表面の往復軌道を南北に結ぶ短い磁力線ループができる。
極小期には、太陽極域の親球の磁場は強い。しかし極域周辺にある親球すべてが同極性になる。互いに同極性では磁力線ループはできない。したがって磁力線ループは極域にはほとんど存在しない。極域の親球と逆極性の磁極は、赤道を超えたあたりの親球に存在する。したがって北半球と南半球をつなぐような遠距離の磁力線ループができる。ただし子球単位で見れば、同じ半球の中緯度に磁場は弱いが極域と逆極性の子球が存在し、近距離で小規模な磁力線ループを作っている。