暗い夜空を見上げてみよう。いにしえより人類は夜空の星に星座を思い描き、想像力をめぐらしてきた。17世紀にガリレオが天体望遠鏡を発明して以来、技術の進歩に伴い、人類が観測可能な天体はどんどん増えていった。可視光だけでなく天体が放射する多様な波長の電波による観測技術が確立され、日本がハワイに設置した「すばる」のように巨大な天文台が建設された。また、地球を回る人工衛星にも望遠鏡が載せられ、ハッブル宇宙望遠鏡のように言わば宇宙の天文台として機能するようになった。地球大気のゆらぎなどに由来するノイズの影響を受けないので、ハッブル望遠鏡は諸天体の鮮明な画像を地球に送り続けてきた。そのおかげで、今日でははるか遠方の銀河や星雲の妖しいまでに美しい姿をわれわれは見ることができる。
星雲はいくつかの種類に分類されるが、そのひとつに惑星状星雲がある。超新星にならずに一生を終える恒星が、赤色巨星となった際に放出したガスだと言われている。その姿は神秘的かつ幾何学的であり、いったいどうやったらガスがこんな形になるのかと驚嘆せずにいられないものばかりだ。
Wikipedia:List of planetary nebulae
これらの形状をコンピュータでシミュレーションする試みは現在でも行なわれているが、はかばかしい成果は挙げていないようだ。
しかし、「虚4次元を回転する虚3次元球」という考え方を導入すれば、これらの星雲を単純な数式でシミュレーションできる。「現在知られている中で最も構造が複雑な星雲の一つ」とウィキペディアに評されたキャッツアイ星雲を、この方法でシミュレーションしてみよう。
ウィキペディア:キャッツアイ星雲
ハッブル宇宙望遠鏡からの可視光線画像とシミュレーション画像を並置する。全体像と中心部のそれぞれを比較してみよう。
ただしシミュレーション画像を見るときにはルールが一つある。図形中心の原点に近いほどエネルギー密度が高く、強く発光すると考えることだ。周辺部はぼやけて薄くなる。それがぼんやりした光、すなわちハローとして観測される場合がある。また、赤や青の線よりも黄緑色の線のほうがはっきりと写真に現れやすい。理由は後述する。
まず全体を概観してみよう。見えにくいが写真では外殻を薄茶色の球体ハローが取り巻き、その内側に黄緑色の六角形のガス体がある。その内側には何重かの同心円があり、中心近くには猫の目のような形をした構造体がある。シミュレーション画像とよく対応していると思われる。外殻ハローと内側の同心円はわかりやすい。シミュレーションでは六角形のガス体がわかりにくいが、左半分で青系、右半分で茶系の線をたどればその形が理解される。
中心部の模様に至ってはほぼそのものだ。解説の必要すらあるまい。
なお、中心部の画像はSTAR GETのサイトからお借りした。
このシミュレーションの数式は、あっけないほど単純な三角関数だけで成り立っている。
この手法で星雲の形状がシミュレーションできるということは、惑星状星雲の発生に関する現代宇宙論が誤っていることを示唆する。だが、それはさておき、今はもっといろいろな星雲の形を追ってみよう。