先に宇宙ジェットの項で述べた降着円盤とは、中心に何かしらの天体が存在する円盤状ガス雲と言える。一般に球体のイメージがある天体の中で、その扁平さにおいて特殊である。物質の質量を核融合よりも効率よくエネルギーに変換するシステムであるとされている。だが、詳細についてはまだわかっていない。中心に近くなるほど回転の角速度が大きくなる。ブラックホールでは中心の角速度は光速近くになる。中心付近でも外周付近でも角速度が変わらない銀河系とは違っている。中心に近づくほど速くなるこの種の回転を差動回転と言う。
ところで、差動回転といえば、われわれの太陽系にも差動回転するプラズマを持つ天体がある。ほかならぬ太陽だ。太陽は巨大なプラズマ体だが、中心核を持つと言われている。赤道部分と極部分とではプラズマの自転速度が異なることが確認されている。この差動回転するプラズマが降着円盤のようにエネルギーの生成に関与しているのではないかと想像したくなる。この自転速度の差はさほど大きなものではないので、真偽のほどは不明だ。だが、いずれにせよ太陽の機構はまだ解明されているとはいえない。
日震学という太陽研究の分野がある。太陽の持つ固有振動から太陽内部の構造を研究する学問だ。用いられる手法は光のドップラー効果の分析である。代表的な分析結果に5分振動というものがある。太陽表面が約5分周期で上下するのだが、この現象が球面調和関数の重ね合わせとして理解できるのだそうだ。…またもやキーワードが出てきた。光のドップラー効果(次項参照)。球面調和関数の重ねあわせ。これが虚4次元回転を意味することはくどいくらいに述べた。
太陽は3次元と虚次元の高速自転による巨大な発電所なのではないか?たまった電荷を太陽コロナというプラズマとして放出しているのではないか?どのような仕組みで太陽コロナが発生しているかは、現代物理ではまだ解明されていない。意外にも太陽から離れた場所のほうが太陽表面よりも温度が高いという。この謎を解き明かす一助になるのではなかろうか。
太陽についてもうひとつおもしろい観測結果を紹介しよう。科学者の予想に反して、太陽は極めて真球に近いことが判明したのだ。それまでは太陽は赤道付近でわずかに膨らんでいると考えられていた。ハワイ大学のジェフリー・クーン博士は、NASA の太陽観測衛星ソーラー・ダイナミクス・オブザーバトリーに搭載された太陽観測装置で太陽の正確な輪郭を測定した。それによると、太陽の直径は 140万キロメートルだが、赤道付近の幅の違いは、たったの10キロメートルだった。太陽はこれまで計測されたあらゆるものの中で最も丸い物体だとわかったことになる。同時に、太陽の表面は考えられていた状態より驚くほど均一なものであることもわかった。
また、電子についてはさらに興味深い測定結果がある。英国のインペリアル・カレッジ・ロンドンの研究者たちは、電子の形についてこれまででもっとも正確な計測を施した。その結果、電子を「太陽のサイズ」にまで拡大したとしても、髪の毛一本の中に収まる程度の誤差となるほどの完ぺきな円であることがわかった。
宇宙サイズでも素粒子サイズでも、世界は数学的に球形に満ちているようだ。
In Deep:電子は「宇宙に存在するものの中でもっとも丸い存在」だった:英国の研究者たちの10年間に渡る執念の研究が突き止めた「宇宙の奇蹟」