●プラズマ宇宙論

 ここまでずっと電流は虚4次元回転であると書いてきた。しかし、現実に見たことのないものを簡単に信じることはできないだろう。それでは、広い宇宙に何かひとつくらい目に見える現象が見つからないだろうか。私は、ビルケランド電流がそれに近いのではないかと思う。プラズマ宇宙論をご存知だろうか。重力よりも電磁力を重視した宇宙論だ。スエーデンの物理学者アルベーンが電磁流体力学を基礎にして創始した。いまだ主流派の理論ではない。だが、主流派の理論で説明できなくともプラズマ宇宙論で無理なく説明できる現象は数多い。たとえば宇宙の大規模構造を説明できるし、ダークマターなどの仮想物質を仮定する必要がなくなる。

 現在主流派の宇宙論は混沌としている。ダークマターに続いてダークエネルギーというまったく正体不明のエネルギーを仮定し、両者を合わせて宇宙の95%以上を占めるとの大胆な仮説を導入せざるを得なくなっている。また、宇宙には膜状の大規模構造が多数見つかっている。銀河が多数存在する膜のような領域と、何も天体がないボイド空間とが交互に存在しているらしいのだ。だがビッグバン理論はその理由を説明できない。
 最近の主流派宇宙論は、一昔前の一般人の宇宙科学常識からどんどん離れている。昔はブラックホールといえば何でも飲み込む黒い穴というイメージだったが、今考えられているブラックホールの描像は全く違う。高速自転していたり、磁場があったりする。あろうことか物質を吹き出していたりする。しかも観測によると吹き出す物質が大量かつ高速な場合があり、説明不能に陥っているのだ。ホーキングでさえブラックホール理論は間違っていたと言い出す始末だ。たとえば、つい最近の2015年2月に太陽120億個分の質量を持つ超巨大なブラックホールが発見された。ビッグバンからわずか9億年という短時間のうちに、これほど巨大なブラックホールが出現することは従来の理論では説明できない。

 プラズマ宇宙論において、ビルケランド電流は宇宙空間の巨大な電流現象として語られる。宇宙の送電線と呼ばれるフィラメント構造が宇宙には数多く存在することがわかっており、実際に写真に撮られている。

ビルケランド電流
ウィキペディア:プラズマ宇宙論

 ここで、電流が流れる導線を想像してみよう。もしも2章で述べた通り電流が導線内の回転だったとしたら、その運動はどのように見えるだろうか。ストークスの定理によれば、微小円電流の集合体は大きな円電流とみなすことができる。導線の断面を多数の虚次元粒子が回転しているとしたら、その回転は集合的に導線断面大になる。電線を半透明にしたら、ちょうどビルケランド電流のように見えるのではないか。無論ビルケランド電流は巨視的な現象なので、導線内の電流とは別の機構で説明される。だが、巨視的な領域でも微視的な領域でも宇宙は同じ原理で運営されていると考えれば、非常に興味深い。



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