5 宇宙論その他

●電磁ポテンシャルとは何か

 電気は高次元の回転であるという基本方針を元に物理理論を見直すと、いろいろと仮説を立てたくなる。たとえば電磁気学の分野について考えてみよう。電磁気学は電気を対象にした学問だから、見通しが良くなるに違いない。
 電磁気学には、電磁ポテンシャルという概念が出てくる。電磁気の根本はベクトルポテンシャルとスカラーポテンシャルという2種類のポテンシャルであるという理論だ。ポテンシャルとは潜在力という意味の用語だが、これが電場と磁場の元だというのだ。電荷がスカラーポテンシャルに、電流がベクトルポテンシャルに対応すると言われる。天才マクスウェルが電磁気学を創始したとき、すでに電磁ポテンシャルの概念を視野に入れていた。長い間ただの仮説に過ぎなかったが、近年の物理学はこの視点から電磁気学を研究している。とはいえ、電磁ポテンシャルの詳細はよくわかっていない。

 スカラーポテンシャルは、静磁場中では静電ポテンシャル(電位)と同じものになる。静磁場とは磁場の時間的変化がない状態だ。ローレンツ変換の導出の前提であった磁場の湧き出しのない状態がいい例である。研究によると、静電ポテンシャル(電位)は多数の球面調和関数の和で表わされるそうだ。これは多重極展開そのものを指しているだろう。距離の逆数を展開するとルジャンドル多項式が得られた。展開式の項数はいくつもある。そうして計算されるいくつもの球面調和関数を重ね合わせると静電ポテンシャルになるのだ。では、静磁場でない場合は?磁場とは円電流と同義であることが知られている。静磁場でないとは、円電流が変化することか。円電流とは虚次元の回転を意味するはずだ。なるほど、これは虚4次元の複合回転なのか。

 では、ベクトルポテンシャルとは何か。結局コーシーの積分公式になるのではなかろうか。虚4次元の回転によるポテンシャルの湧き出しだ。他にありえないと思うがどうだろう?ちなみに、球面調和関数のシミュレーションでは、虚次元粒子の位置座標にルジャンドル陪関数をかけて球面調和関数を計算した。これは位置ベクトルに定数を掛ける操作である。そして虚次元粒子は時々刻々とその位置を変えるのであった。球面調和関数はベクトルポテンシャルではないか?

 なお、球面調和関数の和という概念はこれから重要になるはずだ。任意の2次元グラフは数学的に多数のフーリエ級数の和として表わされる。同じ要領で、任意の3次元物体の輪郭は多数の球面調和関数の和によって表わすことができるだろう。つまり、電磁気の重ね合わせにより任意の3次元物体の形状を作り出すことができるのだ。これを球面調和関数展開と呼ぶ。積層型3Dプリンタが薄板を積み上げるようにして作成する造形を、一瞬のうちに電磁気で造り出すことができるようになるかもしれない。もっとも、遠い未来の話ではある。人類の技術はまだそこまで進歩していない。


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