元素の周期表を見てみよう。地球上の元素は第7周期まで、原子番号は118まであると推定されている。水素は原子番号が1で、量子数は(n,l,m)=(1,0,0)である。以下(n,l,m)=(4,3,3)のUuoウンウンオクチウムという元素まで、順々に量子数が増える。それとともに原子核の周囲を回る電子も多くなり、いろいろな形状の球面調和関数を電子雲として含むようになる。つまり、中心にある原子核を、複雑な形状のたくさんの球面調和関数が包むようになる。原子番号の数だけ球面調和関数はできるはずだから、最後は虚4次元で100枚の衣をまとうようなイメージだ。
実際には、包むという言葉は正しくない。球面調和関数は座標原点を通る。3次元の原子核の中心を通り抜けることになる。原子核の大きさは球面調和関数に比べればごく小さい。もし球面調和関数を可視化できれば、複雑な衣を幾重にも重ねた高次元体という元素の姿が浮かび上がるだろう。