●相対性理論とは

 相対性理論について考えてみたい。アルバート・アインシュタインが1905年に発表した特殊相対性理論と1916年に発表した一般相対性理論は、量子力学と並んで現代物理の2本柱の一つと理解されている。ニュートン以来の物理学を革新したその理論は、発表当初名だたる物理学者が連名で反論を繰り広げ、社会現象にさえなった。しかし現代ではその正当性が認められ、アインシュタインの名はほぼ神格化されるに至っている。

 アインシュタインが相対性理論の基礎とした空間概念はミンコフスキー空間である。3次元空間に実軸を一つ追加し、これを時間軸であると仮定した。実軸ではあるが他の空間軸との対称性はないとの扱いだ。一歩進めたのがブラックホール理論で有名なイギリスの物理学者ホーキングで、ミンコフスキー空間における虚時間を仮定して宇宙論を構築した。今回私が仮定したいのは虚軸である。似ているようで少し違う。コーシーの積分公式が適用できるので、虚軸を含む空間が電気現象の基礎だと私は考えている。電気工学の分野では、虚軸という概念は現在でもしばしば見かける。
 光は虚4次元を進むらせん波であると仮定した場合、相対性理論は修正すべきなのだろうか?結論から言えば、相対性理論の大前提であるローレンツ変換に変更はない。ローレンツ変換とは、アインシュタインが相対性理論を構築するにあたって採用した有名な変換式である。直線運動する座標系から静止した座標系を見ると、距離が縮んで見えるというものだ。光速をc、座標系の速度をvとすると、距離がγ倍に縮んで見える。

ローレンツ変換

 γをローレンツ因子と呼ぶ。相対性理論はローレンツ変換を基礎に据えて構築した理論なので、根幹部分に変更はない。だが、相対性理論がミンコフスキー空間を基礎にしているならどこかで狂いが生じてもおかしくない。まず時間の定義が違ってくるだろうし、時空構造を基礎にした宇宙論も再検討を要すかもしれない。私は相対性理論について詳しくないので、基本的な部分だけを問題にしたい。

●相対性理論は本当に正しいのか?

 相対性理論は果たして本当に正しいのか?
 現代物理の2本柱の一つであるにもかかわらず、いまだに問題提起する人が後を絶たない。
 アインシュタインがノーベル賞を受賞したのは相対性理論によってではない。量子力学の分野における研究が認められたものだ。宇宙論の分野では、すでに相対性理論は瀕死状態だと言う人もいる。

 アインシュタインが相対性理論の基礎として掲げた光速度不変の原理が、どうもうさんくさい。光速度不変の原理とは、移動する座標系から観測しても光速は一定であるという仮定のことだ。故窪田登司氏などが有名な論客である。簡単に言えば、「自由落下中のエレベータ内で光を放てば、光もエレベータと一緒に落ちるのか」を窪田氏は問題にしている。光源が移動したら、放たれた光も追随して移動するのかという問いだ。エレベータは自由落下しているから、エレベータ内部では重力の影響はないと考えられる。光もエレベータと一緒に落ちるというのがアインシュタインの立場で、落ちないというのが窪田氏の立場である。

 そんなのはとうの昔に実験で確かめられていると読者は思われるだろう。だがそれを証明したとされるマイケルソン・モーリーの実験も、はっきりと断定できるほど確度の高いデータではなかったと言われる。後年になってマイケルソンが別の装置で実験したところ、光速度は変化するという結果が得られたそうだ。さらに、アインシュタイン説が正しいという有名な実験結果、ヘイフリーとキーティングの1971年の実験に捏造が発覚したのは2000年のことだ。原子時計を飛行機に乗せて飛ばし、地上の原子時計と比較するという1000回も引用された実験が、理論値に合うようデータ改ざんされていたのだ。小樽商科大学名誉教授原田稔氏の著書「現代版ガリレオメンデル・サックス」によると、キーティングはアメリカの海軍測候所に所属していた。アイルランドの物理学者がキーティングの実験結果に疑問を持ち、情報公開条例に基づいて彼らの実験報告書を入手することに成功した。その結果、論文に記載されているデータは全くの別物であることが判明したのだという。
 また、サニャック効果という現象がある。回転座標系を進む光を作り出し、回転していない座標系の光との時間の差を測定する。すると、あたかも座標回転の速度にしたがって光速が変化したかのように観測されるのだ。

 もちろん相対性理論を証明したと主張する学者は大勢いる。しかし学者が相対性理論は正しいという時、ローレンツ変換は正しいと言っている場合が多い。ローレンツ変換が正しいことと光速度不変の原理が正しいことは同じではない。
 アインシュタインが光速度不変という誤った仮定から導いたにもかかわらず、ローレンツ変換は正しいと私は考えている。その根拠は、光速度不変の原理とは別のところにある。

 ローレンツ変換についてウィキペディアで調べてみると、次のような記述が見つかる。

「(略)…ローレンツ変換がミンコフスキー空間上での虚数角の回転に相当することが容易に理解できる」
ウィキペディア:ローレンツ変換

 なんのことはない、ローレンツ変換とは虚4次元空間での回転を表わす式だったのだ。それならばこれは電磁波を記述する基本原理となりうる。
 元々ローレンツ変換は、アインシュタインが導いた式ではない。マクスウェル方程式を不変に保つためにオランダの物理学者ローレンツが導いたものである。今後ローレンツ変換について考えるときは、アインシュタインの導出法でなくローレンツの導出法に戻って考えねばならなくなるだろう。



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