7 太陽表面の神秘的造形を鑑賞する

●NASAの撮影したコロナレイン動画

近年の太陽観測衛星の性能向上はめざましく、太陽表面でのプラズマガスの動態がそのまま観測できるようになってきた。以前は解像度の低い静止画像で構造を推測するしかなかった現象を、ありのままに動画で観察できるようになりつつある。専門家には知られていても門外漢にとっては目を疑うような現象が太陽表面では日々生起しているらしい。太陽表面現象の理解に役立ちそうな高解像度動画をふたつ挙げてみたい。


最初の動画はコロナレインだ。冒頭に記したとおり、この動画は2012年7月に起きた太陽フレアに伴う一連の現象をNASAの太陽観測衛星SDOが撮影したものだ。


NASA | Fiery Looping Rain on the Sun

コロナレインは太陽物理学ではプロミネンスの一種と分類されている。コロナレインとは、磁気リコネクションのエネルギーによって子球が励起して巨大化し、その表面軌道の孫球が強い磁場で周囲のプラズマガスを引きつける現象と思われる。通常のプロミネンスは、1個の親球の親球表面2軌道が交わる場所に発生すると思われる。それに対しコロナレインは、2個の親球が重なり4本の親球表面軌道が一か所で交わる場所に発生すると思われる。このとき、太陽表面軌道の交差点で親球が重なり、かつ親球表面4軌道の交差点で4子球が重なっている。


太陽表面軌道は肉眼では確認できない。しかし親球表面軌道は金色の高温プラズマによって確認できる。太陽表面にはさまざまな形状の金色のプラズマガス図形が散らばっている。円形に見えるものも曲線に見えるものも直線に見えるものもある。画面の左端と右端のそれぞれに、線路のように2本並んだ明るい直線軌道が奥へと続いている。見方によっては直線軌道は2本よりも多く並んでいるので、本当は線路状と言えないかもしれない。この直線軌道はほぼ平行だが、画面奥ほど間隔が狭くなるようだ。厳密には直線でなくやや湾曲しているようにも見える。親球頭頂部のアルファベットl字型軌道ではなかろうか。2個の親球のl字型軌道がほぼ重なっていると思われる。

2個の子球が、画面の左端と右端の軌道を手前から奥へ移動してきたと考える。同時に2個の子球が、画面奥にある左右方向の軌道(2本重なっている)を左右から移動してきたと考える。そして4本の軌道が交差する地点で、4個の子球がぴったり重なって磁気リコネクションを起こしたと仮定する。磁気リコネクションのエネルギーが光に変換され、金色に輝くカスプ状フレアが出現する。

32秒あたりで磁気リコネクションが発生する。42秒あたりで相似形の輪郭を重ねたような階段状の光が急激に拡大する。相似形の輪郭を重ねたような形の光などそもそも常識では説明できない。光は1時の方向と10時の方向を向いているように見える。この発光を4次元超球面の3次元断面としてシミュレーションするとこんな感じだ。

階段状の光

この光は少しずつ拡大しているわけではない。磁気リコネクションのエネルギーに応じた大きさの図形が一瞬で生成するが、軌道周囲のプラズマガスを熱して可視化せねばこの図形は観測できない。それで中心付近の軌道しか見えないのだろう。発光は1時と10時の方向に見えるが、軌道の重なり具合によるらしい。

1分1秒あたりの画像をよく見ると、コロナレインの少し手前に同心円図形がいくつか存在するように見える。ほかの子球の断面が見えているのだろう。これほど形が明瞭でない場合には、子球の断面はコーヒー豆状に見えたりする。

1分過ぎから本格的にコロナレインが始まる。このコロナレインをシミュレーションするとこのようになる。コロナレインの下半分は太陽表面よりも下にあるので隠れて見えない。見やすくするため実際よりも3次元回転数を少なくしている。

コロナレイン

コロナレインの頭頂部から光るプラズマガスが現れて軌道公転しているように見える。だが、プラズマガスがそこで作られているわけではない。一般に高温のプラズマガスは時間がたつにつれ少しずつ熱エネルギーを失う。その結果発光しなくなり、画像に映らなくなる。だがコロナレインの頭頂部では孫球が衝突して磁気リコネクションが起き、再加熱されてプラズマガスが発光するようだ。もっとも、頭頂部以外の場所でも磁気リコネクションは起きているらしく、突然発光する孫球は子球表面軌道のいろいろな場所で見られる。

コロナレインは子球表面軌道を孫球列が発光しながら軌道公転する現象である。プラズマガスの移動方向はおおむね上から下だが、よく見ると孫球には上向きに移動しようとしているものもある。結局は下向きに戻ってしまうようだが。また、プラズマの落下速度は一様ではなく、中には速いものもある。移動方向と移動速度の違う孫球列が何種類も同居しているようだ。
3分30秒過ぎには頭頂部の軌道から落下したプラズマガスが下の軌道に捉えられるのも見える。孫球の磁場の強さは刻々と変化しているのだろう。

このコロナレインは画面の右から左へと少しずつ移動している。画面奥では親球の表面軌道が左右に続いているのだろう。1分25秒あたりではコロナレインの表面軌道が何本かばらける。画面の左から右へ移動する子球が分離し、プラズマガスがその磁場に引きずられたのかもしれない。このコロナレインは4個の子球でできていると最初に私が仮定したのは子球がこのように分離するからだ。


3分あたりの画像では、コロナレインの右側に細い線状のプラズマガスが噴出したり太陽表面に戻ったりしているのが見える。まっすぐあるいはやや湾曲した軌道に沿って噴出するこのプロミネンスは、サージと呼ばれる。サージは太陽表面から噴出して最大高度に達した後、元の経路を太陽表面へと戻る。なぜ元の経路を戻るのかは太陽物理学ではわかっていない。
サージもコロナレインと同じ原理だと思われる。コロナレインよりも温度が低いため、軌道の一部だけがプラズマガスを発光させているのだろう。サージの軌道には正逆両方向に移動する孫球列が共存している。孫球列の磁場の強さは、各孫球の軌道自転に伴って刻々と変化する。最初は噴出する方向の孫球列の磁場が強いが、途中から逆方向の孫球列の磁場が強くなり、プラズマガスが元の軌道を戻ることになるのだろう。このサージの軌道の形や大きさはコロナレインと似ているが、子球対の中心軸の角度は異なるように見える。



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